国会衆議院 総務委員会議録

平成13年10月30日(火曜日)

○黄川田 徹君
  交付税削減問題について伺いたいと思っております。このことについては構造改革の柱の一つとして、色々議論されてまいりましたが、最近は経済財政諮問会議でも活動が鈍いように思います。改革工程表にも明確な方向が提示されておりません。全ては地方分権改革推進会議の審議結果待ちなのでしょうか。大臣は折に触れ、交付税算定のあり方について小規模町村に手厚く交付する段階補正を引き続き見直していくなどと表明しておられます。例えば割増率の頭打ちを行っている人口段階の4000人を引き上げるのではないかなど耳にするわけであります。このような一方的な話は税財源の乏しい弱小町村の切り捨てにつながると思われるわけでありますけれど、来年度の予算編成を受けて、総務省は段階補正の見直しについて、どのように方向付けをしようとしておいででしょうか。  

○片山総務大臣
  地方行財政の見直し、改革は、12月の来年度予算編成の時までに、改革工程表ではそういうふうになってますから、地方交付税についても、年末までに方向付けをいたしたいと考えておりましてね、交付税の中で検討しなければならないのが段階補正なんです。段階補正は御承知のとおりでございますが、規模の小さい市町村ほど、行政コストが高くなるので、割増をしてやろうと、こういうことで私はそれはそれで理屈があると思いますけれど、その割増の率が良過ぎるのではないかと、こういう御指摘があるんですね。そこで、役所の方で実態を少し調べてくれと、実態を調べてですよ、もし、それが良過ぎるんなら、本来のところに返した方がいいのではなかろうかと、段階補正をやめるというのではありません。段階補正のあり方の程度を見直していくというふうに考えております。

○黄川田 徹君
  厳しい市町村運営に対応するため、自治体の生き残りをかけてですね、様々な選択をしなければならない時代になったと私も思っております。その中にあって総務省は自主的な市町村合併を促進し、個性にあふれたまちづくりを実践すべく総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部を設置して、数々の支援策を盛り込んだ市町村合併支援プランを発表されております。また一方平成17年度末で期限切れになる合併特例法ということで、各自治体に合併の気運が徐々に高まりつつあることも事実であります。岩手県でも私の選挙区の大船渡市と三陸町が来月11月15日に正式に合併することになっております。この合併問題を考えるときには、地域の将来像をどう描くか、あるいはまたその具現化のために、どのような自治体を作り上げていくか、そして住民の目線で一緒に考えていく、そういうプロセスが一番大事であると私は思っております。改革工程表では、自治体規模に応じて仕事や責任を変える新しい仕組み、例えば人口30万人以上の大きな自治体にはより大きな仕事と責任を与え、逆に小規模な自治体には仕事と責任をより小さくし、都道府県に肩代わりさせるなど、第27次地方制度調査会にてこの10月から2年がかりで都道府県、市町村の抜本的見直しに着手する予定と聞いております。そこで中山間地の少子高齢化の激しい人口1万人未満の小規模町村の合併問題を総務省は基本的にどう認識しているのでしょうか。企業の合併問題と同様、合併したくても相手がいない、かつ周りは類似の町村だけであるというところも少なくありません。しかも、現状は一部事務組合や広域連合でそれなりの効率化も図られているということもあります。一部の経済学者が言うように、きれいな水、澄んだ空気、あふれる美しい自然があるから、それなりの犠牲は我慢しろと言うのでしょうか。地方自治の本旨に立ち返って、大臣の見解をお伺いいたします。  

○遠藤副大臣
  ただいま、たくさんの観点からですね、市町村合併につきましての御質問いただいたわけでありますけれど、概括的に申し上げまして、21世紀は市町村の時代であると、いわゆる住民主体、最も身近な基礎的自治体である市町村が、より住民のサービスに適応できる体力をつけていただくことが大変大切であろうと思っております。今、市町村合併は国が強制的にやるものではないと、市町村の自主的な判断でお願いしたいと、このようにお願いをしているわけですけれど、状況見ますと、中山間地の地域がですね、取り残されてしまう形で進むような心配もありますものですから、県にきちんと中に入っていただいて、市町村合併支援本部を作っていただく、あるいは合併のパターンというものを県に考えていただく、こういうふうな県に市町村合併の仲介役と申しますか、大局的な見地からですね、孤立される市町村が残らないようにですね、調整をお願いしているところでございます。それから市町村合併に対して、もう少しインセンティブが働くような制度設計にしたらどうかというふうな御議論もたくさんいただいているわけです。例えば、先ほど段階補正の話が出ましたんですけれど、現在の、少し手厚すぎるような段階補正が継続することがかえって市町村合併の足を引っ張っている面があるのではないかという指摘もございます。従いまして段階補正につきましてもですね、行政の効率化とか、そういった面で、出来る問題は考えていただくと、それから、標準的な行政のことをやっていくために必要な財源を確保する、こういうための段階補正は必要だと思いますけれど、そうした意味で、若干、段階補正を縮小する方向で検討をしているということでございます。
  それから、一部事務組合等でですね、いろんな福祉行政等推進している、あるいは消防行政を推進している場面があるわけですけど、一部事務組合の場合は、関係団体が多いものですから、決定するまでにかなり時間を要する問題があります。従いまして、やはり、きちっとした市町村合併を推進していただくことによりまして、一体的に行政サービスが図られる、そういう利点があるわけでございますから、一部事務組合にとどまらずに市町村合併の推進をお願いしたい。このような感じで、今日も午後1時からでございますが市町村合併全国リレーシンポジウムの中間総括シンポがございまして、今日、全国の半分くらいが終わったわけですけれど、市町村合併のシンポジウムやりまして、住民の皆さんの意識をいただいてさらに強力に推進できるように取り組んでいきたい、このように考えているところでございます。

○黄川田 徹君
  合併したくないが、考えなければ取り残される、あるいは合併で行政サービスが向上するという保障もないなど、いろいろ首長さんがお話しされる方がたくさんおりますので、小規模町村のですね、戸惑いを除いていただく、そういうことが大事でありますので、よろしくお願いしたいと思っております。


もどる