国会衆議院 総務委員会議録衆

平成13年11月27日(月曜日)

冒頭は5分程度全庁的に映像が流れなかった。

○片山総務大臣
  私は21世紀は地方の時代、とりわけ住民に身近な市町村の時代だろうと思っておりますが、そのためには主役である市町村の規模能力が今のままでは不十分でございますので、規模能力を強化していく、分権の受け皿にしていくことが一つと、それから同時に市町村行財政の効率化、合理化ということもあると思いますし、それによってより高いサービスを住民に提供するということもあると思います。今まで明治維新の歴史を見ますと、大きな町村合併は今回入れて3回目なんですね。最初が明治21年から市町村制という法律を作るときに、いわゆる明治の大合併が行われましてね、その当時71,000あった市町村が15,000になったんですね。それは我が国が新しい近代国家になるためには、一番末端といいますか、住民に身近な行政体制を整備すると、戸籍や民政やいろんなことをやらせると、こういうことで明治の大合併は行われまして、そのあとは、太平洋戦争後ですね、昭和28年に町村合併促進法を作りまして、31,2年目でかかりましてですね、1万強あった市町村を4000弱に合併いたしたわけでありまして、この際は戦後の新しい自治制度で小学校のみならず、新制中学校も市町村にやらせようと、こういう発想があったんですね。今度は平成の大合併でございまして、21世紀になりましたし、市町村が本当に地方の時代の中心になるのならば、やっぱりその規模能力を強化すべきではなかろうかと、こういうことでございまして、与党の方は100位を目標にと、こういう話でございますので、我々もそれを念頭に置きながら、合併を進めてまいりたいと、こういうふうに考えているわけでございます。  

○金子 善次郎君
  私が申し上げたかったのは、この行政改革大綱でございますが、地方分権の推進、それから少子高齢化、財政問題など、3つのいろいろの要因が合併を進めなければいけないという観点から書かれているわけでございますが、今、大臣の御説明になられたことにしましても、もう少し大きな観点と申しますか、財政が大変だから進めたんではないよと、あるいは少子高齢化というようなことだけではなくて、やっぱり日本の国家というもののあり方をどうするかという観点から、地方団体の体系というものを考えていかなきゃならないんではという、こういう観点から御質問させていただいた次第でございまして、どこの国でも、それぞれの歴史やいろいろな背景というものがあって、地方制度というものができてるものと思います。そういう意味で、日本で一番、私は思いますけど、これからやらなきゃいけないのは、行政改革、地方分権の推進ということが大事な点ではないかと、むしろ財政問題あるいは社会情勢の変化ももちろんでございますけど、地方分権を進めるんだという、こういう観点から、市町村合併が流れの中で必要なんだというような、なんと申しますか、行政改革大綱を読む限りはですね、「地方分権の推進や」というような並立的に書いてあるわけです。それで力点のあり方が曖昧になっているんではないかと言うようなことで指摘をさせていただいたところでございます。その点、行政改革大綱の表現ですけど、大臣としては、どのようにお考えになりますか。

○片山総務大臣
  書き方はね、少し言葉足らずな点があったかもしれませんが、基本的には地方分権を推進することが日本のために必要だという考え方でございましてね、地方分権ということはは地方が自分でものを考えて決めて、それがやれるだけの力を与えるということですね、そのためには、今より権限や税財源やそういうものを持たなきゃなりませんし、市町村にそれだけの意欲と能力がなきゃいかんのですよね。意欲や能力がある市町村多いと思いますけれどね、もっと全部の市町村にそうなってもらいたいと考えておりましてね、そのための有力な手段が市町村合併ではないかと思っておりまして、あくまでも地方分権の推進であります。その点は今後とも我々ははっきりさせていきたいと思っております。

○金子 善次郎君
  ところで、長きにわたりまして精力的に地方分権の問題について審議を進めてこられました地方分権推進委員会、これは一応の終止符を打たれたわけでございますが、この中で平成12年の11月27日の市町村合併推進についての意見というものがここから出されているわけでございます。この点について御質問したいと思っております。この市町村合併推進についての意見でございますが、その中で市町村合併の推進方策の項目で合併特例法の期限である17年3月までに十分な成果が上がるように、必要な措置を加えて、新たな措置を講ずることというような意見が出されているわけでございます。このうちでございますけども、第1点といたしまして、財政上の措置、これがこういう表現になっております。合併特例法の期限内に合併する市町村に対し、合併後の財政需要に対する交付税を一層充実する。とこうなっているわけでございますが、これはどのような措置になっているか、お聞きしたい点と、合併すれば必ず財政需要があふれるというような印象がこの地方分権推進委員会の意見のようにも印象的には思うわけでございます。合併すれば増の部分と減の部分もあるんではないかと、そのように思うわけでございますが、そこの点についての総務省のお考えを御指摘願いたいと思います。

○芳山自治行政局長
  市町村合併の推進に係る交付税の措置の拡充でございます。従来からの合併特例債等の措置に加えまして、御指摘のように、新たに合併を機に行うコミュニティ施設整備、また公共料金格差是正に伴う包括的な特別交付税措置及び合併前に要する電算システム統一等の合併移行経費について特別交付税措置を平成12年12月から創設したところでございます。また、御指摘ありましたように、市町村合併に際して、一定の財政需要が生じる。また、総務部門、企画部門等の管理部門を中心に効率化が図られ、コスト削減が図れる、という具合に存じております。財政需要については、一時的な増加もありますが、中長期的にはコスト削減効果が及んで、市町村合併は行財政の効率化にも資するという具合に考えております。

○金子 善次郎君
  これに加えましてもう一点でございますけど、意見の中に国は住民サービスの維持向上を図り、住民の意向が反映されるよう、地域審議会の活用、当分の間、旧市町村の意向が議会において反映される措置、災害緊急時の役場機能の維持云々ということで、意見が出されているわけでございます。私がちょっと気になりますのは、特にこの中で、当分の間、旧市町村の意思が議会において反映される措置を作りなさいという意見が出されているわけでございますが、これについて、総務省の方で、どのような対応をなされているのかという点と、もう一点は、そもそも合併して心情的にはわかるわけでございますけど、そのような制度的なものを作れと、この推進委員会の方で言ってるんではないかと思うんですが、本来新しい地方政府が良識を持って合併した地域が一体化を持てるような行政執行といいますか、政策を進めれば、それで十分なわけでございまして、わざわざ旧市町村の意向が議会において反映される措置、措置ということは常識的に考えれば、制度を作れということだろうと思うわけですけれど、この点につきまして、総務省としてどのように考えておられるか。

○遠藤副大臣
  市町村合併したあとの市町村のあり方というのは、進んで新しく誕生する市町村が考えるべき課題でございます。それは自由に決めることができると、ただ、その中にはいろんな選択肢がありまして、旧来の市町村のコミュニティというものをやはり継続したいと、こういう考え方もあろうかと思います。その場合に旧の市町村の役場を新しい市町村の支所とするとか出張所として活用するとか、コミュニティの窓口として活用していくっていうこともあるでしょうし、旧の市町村の議会の議員の皆さんの意思というものが継続して反映されるためには、新しい議会の選出の選挙区を特例を設けまして、そうした古い市町村でもそこを選挙区として対応ができると、そういう措置も可能かと思います。従いまして、総務省といたしましては、新しい市町村が進んで選択する問題ですけども、その選択の際に古い市町村の意思、古い市町村の形というものを新しい市町村の中でも残していく、そういう選択をされた場合にも対応できますよと、こういうふうなことをお示ししているところでございます。

(中略)

○金子 善次郎君
  市町村合併推進本部のプランを見ますと、政令指定都市についても指定の弾力化を図っていくというようなことで大規模な都市を増やそうという方向性が見受けられるわけでございますけど、この点について御質問いただければと思います。

○遠藤副大臣
  政令指定都市の指定の弾力化でございますけど、この間、合併支援プランというものを発表させていただいたわけでございますが、市町村合併特例法の期限である平成17年3月までの間に大規模な市町村合併が行われ、かつ合併関係市町村及び当該市町村を包括する都道府県の要望がある場合には政令指定都市の弾力的な指定を検討すると、こういうふうにさせていただいたわけであります。具体的には、今、人口が71万人になるだろうと推定されておりまして、合併の協議が行われております静岡市と清水市の合併が実現いたしますと、この指定の対象になるものと、このように考えていたところでございます。

○金子 善次郎君
  そういう流れを総務省では作っていただいているわけですが、市町村の合併の特例に関する法律ですが、平成17年3月まで、実質で、約3年くらいの間に1000までに持っていきたいという大臣のお考えでもあるわけですが、見通しを本当は聞きたいんですけど、とても3年半では、そんな進むとはとても思えない、行政改革大綱になっていると私は思います。そこででございますけど、1000の市町村ということになりますと、ほとんど、町とか村はなくなって、市と中核市と政令都市だけができるような日本になってしまうと思います。そういう中で、二つの問題がそこにあると思います。一つはですね、市町村の機能を基礎的な自治体の機能を強化するということは、極めて地方分権推進の観点から結構なことだ評価するわけでございますが、現在の都道府県はどうなっていくのか、それから、市町村の区域が広くなって、人口が多くなって、それでいいってものではないというのは、地方自治の観点から考えれば、その二つの点があろうかと思います。民主党といたしましては、市町村合併については、特にコミュニティと申しますか、市町村の中の地域社会についてどうするかっていう手当てをしていかなきゃなんないと、これは制度的なものを作っていかなきゃなんないのではないかと、党内では、議論も行ってるわけでございます。そういう意味で、都道府県制との関連、要は日本の行政体系というものを、どうやって組み立ててあるのか、それから地域社会、合併後の地域社会への目配りというものをどうしていくのか、大臣から決意をお伺いしたいと思います。

○片山総務大臣
  あと17年の3月までですからね、3年ではないかと、1000になるのかなと、なかなか難しいんではないかと、私はなかなか難しいと思います。ただね、私が思ってるよりはるかに雰囲気が出てまいりましたんで、例の合併の協議会や研究会を作ってるところが市町村数の半数を超えてるということ、また合併重点支援地域が23県44地域191市町村に、これはねもう合併の予備軍と言うのかね、麻雀で言うとリーチがかかった状態でございますんでね、そういう意味で、私は雰囲気ができればかなり進むんではなかろうかと思っておりますが、緩めちゃいけません。今後とも、大いに啓蒙し、ご理解をいただいて合併の大きな流れを作っていけばいいなとこう思っております。市町村が広域化しますからね、やっぱりね、コミュニティの育成っていうのは、どうしても残りますね。これはこれで私は考えなければと思いますし、今の自治法の中に地縁的な団体の法的根拠を与えました。町内会や自治会ですね。こういうもの育成もあるし、NPOとの連携もあるし、そういうものこれから合併がかなり進むとしたら場合のですよ、次の課題ではなかろうかと考えております。そしてまた、かなり合併が進むとすれば、金子委員言われたように、都道府県どうするんだと、ですね、100何十年続いた、都道府県をどうするかっていうのは、私は次のですね、大きなテーマだと思っておりますが、そこで一部では、道州制だとか、連邦制だとか、府県合併だとか、府県連合だとか、いろんなものがありますけどもね、まず市町村合併を着実にやる、市町村の再編成をやるということが前提で、それと並行してね、都道府県の議論をやっても、あまり現実的ではないんではなかろうかと、こう思っておりまして、我々としては市町村合併を推進していく中で、将来の都道府県制度について、研究していくと、こういう姿勢でですね、学者や有識者の方、集まっていただきまして、そういう将来の地方制度のあり方についての研究会を発足いたしましたし、また地方分権改革推進会議や第27次の地方制度調査会でも、そういう議論も併せて始めていただければ、大変ありがたいと思っております。


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