国会参議院 行政監視委員会議録

平成13年12月3日(月曜日)

○渡辺秀央君
  大臣、副大臣、政治家は市町村合併、一生懸命なんですよね。ところがね、事務局はどうも、真剣にやるのかどうなのかというところもね、実際、問題があるように思うんです。今日はまず最初に審議官、大臣あとからしますから、審議官ね、今、市町村合併の進捗状況、どんなふうですか。簡潔にね、時間が少ないから。  

○部審議官
  お答え申し上げます。平成13年中の合併でございますけど、1月1日の新潟県の新潟市と黒埼町の合併をはじめといたしまして、13年中の合併は5例ございます。現在、法定協議会の数が30ございまして、合併後の新しい自治体の名前まで明らかになっている段階までいっているのは8ございます。これと重複いたしますが、合併目標時期を明らかにしておりますのが10ございます。こういう合併協議会をはじめといたしまして複数の市町村で研究会等を設置して市町村合併を具体的かつ真剣に検討しておりますものが、 1657市町村と把握しておりまして、市町村の5割を超えているということで、いろんな研究、議論がなされるようになっている、というふうに承知しております。

○渡辺秀央君
  議論がなされているといっても、実際に、特例という時期もきまってるわけですね。ですから申し上げるんです。質問の冒頭に言わなきゃならんのですが、私どもは本来なら大臣同士の議論ということが党の建前なんです。だけど行政監視委員会は、当初から大臣との質疑も大事であるが、しかしどちらかというと、高級官僚の皆さん、特に部署を携わっている皆さんとの、我々国会議員の立場での議論、あるいはまた監視監察が、非常にその議論が大事だということを指摘しておりますんで、そういう意味で、私は総務委員会では、なるべく大臣や副大臣に質問をして、ほとんど事務当局とはやらないんですが、この場は、行政監視委員会はそういう立場でありましたので、ちょっと官僚の諸君にはいつもきついことを言ってきてるんですけど、市町村合併の推進の問題についても、当初からあまり積極性が見られなかったわけです。しかし、そうではありません、そうではありませんと言いながらここまできて、今聞くと、一応目標定めているのが、3200以上あるところで1657ですか、そういうところにはきたと、そろそろきてると、ただ、それは話し合ってるという程度のことであって、実際に目標を定めて、来年度合併を目指してやるか、というようなこととか、あるいは1年以内に実をあげていくというようなことにはなかなかならない。具体的な例として、福島県の、あるいは、この場でも私が都合で出席できなかったときに指摘があったのかもしれませんが、もしダブったら申し訳ないですけど、福島県の矢祭町、議会で去る10月31日、全会一致で市町村合併をしない矢祭町宣言というのを決議した。この宣言を見ると、国が市町村合併を推進するのは国の財政再建に役立てようとする意図によるものであり、国が押し付ける市町村合併には賛成できない旨がうたわれている。これを受けて11月13日には総務省行政体制整備室長が同町を訪問し、同町に市町村合併のメリットを説明したが、結局、決議を覆すには至らなかったと報道されているわけであります。ちなみにその当時の新聞を見ると、高島室長が行っているわけですが、しかしね、本省から出かけていって、町長あるいは議員、これを説得できない、あるいは説明して納得させることができない、こんな自信のない市町村合併の中央の推進なんてありますか。僕は、まったくね、魂が入ってないからだと思う。相手の心を市町村合併していかなきゃいけないように揺さぶっていく、あるいは心を奮わせるということが説得であって、しかも行政的にもこういうメリット出す、あるいはこういう国としての対応を考えるというのを持っていってるわけでしょ、ちょっと説明してください。

○部審議官
  お答え申し上げます。委員御指摘のように福島県下の町が決議をしたところでございまして、私どもの職員が伺いまして、国としての考え方を説明させていただいたという経緯でございます。私どもの方としては、ともかく地域で合併について十分御議論いただきたいということで、現在も47都道府県でリレーシンポジウムといったものをやらさせていただいておりまして、引き続き努力してまいりたいと、かように考えております。

○渡辺秀央君
  大臣も、それは要するに調整しないと言ってるんでそれはいいんですよ。それは当然ですよ。しかしだ、本省から出かけていってね、新聞によるとだね、町議会というのが決議したんだ、住民との対話そのもので、本省からそんな話、聞く耳は持たん、というのが町長の談話で出ていますな、こういった例を待つまでもなく、全国町村会や、全国町村議会議長会は要望、決議といったかたちで町村合併を絶対に強制しないことを国や都道府県に対して求めてるし、大臣は今申し上げたように、強制はしないと言いながらも、国会答弁では市町村合併の気運は徐々にではあるけれども、全国的に気運を高まってきているとのこともおっしゃっている。先の市町村合併をしない宣言など、今、言ったように実際のところどうなのか、一抹の不安を私はどうしてもぬぐい去ることができません。この不安を払拭する意味で市町村合併が全国に広がっているのだという今のお話、また併せてそういった矢祭町のように一部市町村から合併絶対反対の声が出てること、この両方の関係をですね、どう対応していくのか、あるいはもう少し国として何らか来年あたり、新しい方法をですね、そちらの良いようにやってくださいっていうんじゃなくて、何らか考えないとおそらく、実が上がらないと思うんですよ。そのへん、大臣も十分、市町村合併、市町村行政、自治行政というのを研鑽されてきたんだから、片山大臣を補佐しながら、しっかりやって欲しいということで、お考えを申し述べていただければと思います。

○遠藤副大臣
  市町村合併は何のために行うのか、誰のために行うのか、ということが私は非常に大切だと思うんです。市町村合併は国のために行うものでもない、あるいは地方自治体のために行うものでもなく、その地域の住民のために行うものであります。住民の皆さんの多様なニーズというものを、どのように最先端の自治体である市町村が受け入れ、それをちゃんと消化して住民の皆さんに答えられるようになるか。そのためには一番身近な自治体が体力をそして人材も確保し、そして自らの意志で決定をできる、政策提言できる、そうした自治体になることが重要でございます。今、政府は住民の皆さんに参加してもらって市町村合併を考えるという意味で、この8月から土曜日、日曜日を中心といたしまして、合併のシンポジウムを全国で展開しております。昨日、私、石川県にまいったんですけど、大変たくさんの皆さんが感心をお持ちでございまして、第二会場、第三会場まで作って、参加されている様子でございました。今、自治法の改正をご審議いただいているんですけど住民発議で法定協議会を設置しようと議会に要請したにもかかわらず、議会がこれを否決するということも考えられますから、その場合は住民投票ができるようにして、その住民投票で過半数の方々が法定協議会を設置すべしという意見がありましたら、それを議会の決議とすると、最終的な市町村合併するかしないかの意思は、議会の意思で決めるんでございますけど、その方法といたしまして、住民の意思が反映できるような仕組みにしていただいております。有り体に申しまして、本当に失礼なんですけど、市町村合併と申しますのは、ある意味では地方自治体の議員の皆さん、首長の皆さんは、その職を失う話でございます。それは住民のためにやるという大義名分のもとに、大きな気持ちでやらないと市町村合併はできない。このように思っておりまして、私は住民の皆さんの中で、市町村合併に深い理解をいただくことが一番大事であろうとこのように考えております。

○渡辺秀央君
  そういう精神論はまったく同感、時間なくなっちゃいまして、1問しかできなくなったんですが、一つはですね、副大臣おっしゃること、精神論としてそれで良いんですけれど、しかしね、実際にやるとしたら、その経過措置、合併のね、それは、町村長や議員の諸君たち、もう2年あれば年金がつく、もう一期やれば年金がとれるんだと、合併すると議員になれないとかいろんな問題がある。そういうきめ細かいところを事務当局が、そういうものをきちんと作ってね、政治家である、大臣、副大臣の決裁を得ながらね、あるいはまた審議会等で具体的なリアルな提言をしていくと。理想ばっかり掲げてたって駄目。それともう一つは、私は県知事が一生懸命やるかやらないかです。だから一生懸命やっている県に対して、どうするか、あるいは知事に対する激励をどうするか。そういうデメリットは必要ないが、メリット、そういうものを、政治というのはムチとアメなんですね。例え民主主義国家だっていったって、ムチとアメなんだ。そういう意味では、もう少しきめの細かいことを、これで終わっちゃったんだが、これ以上しょうがないんですけど。具体的なきめ細やかなリアルな政策を、理想は理想として掲げることは良いとして、そうしないと進まない、年明けても。来年も私は議員でおりますから、絶えず監視しながらこの問題は皆さんを激励しながら、そして問題を指摘していきたいと思っております。同時にね、市町村合併をやっていきますとね、地方公務員の職員の削減問題にもいくわけですよね。今の副大臣おっしゃったのは議員と首長の問題、職員の立場からすると今度自分たちの職場はどうなるのかねと、こういう不安感に駆られてる面もある。そういう問題についても、不安のないように暫時新規採用を抑制したり、あるいは組織の統合による人があまる部分から福祉環境の部門など、今日的課題として、人が足りない部門へ、専門職を養成してシフトしていく、合併によって組織を強化されることに伴う、専門職の育成がそういう意味では非常に大事だろうというふうに思うんです。職員の不安を解消しながら、こういう問題を解決していく、こういうことがね、大事なことなんです。それは市町村長、首長の問題で、こっちのことは首長たちの不安感がある、職員も不安がある、これではちょっと進まない。問題を指摘してちょうど時間となりましたので、終わりたいと思います。是非、問題意識をしっかり持って頑張っていただきますように、総理官邸で行政改革だの、なんとか改革だのと言ったって、全然響きがない。スローガンだけだと言って、僕らいつも批判してるんだけど、これすらスローガンに終わってしまう。こういう気がしてなりません。もう一つはあえてさっき言った一生懸命やってる知事が馬鹿見る、それでは困る。私は全国区であるけれども、郷土は新潟、新潟の知事は一生懸命やってる。市町村議員、市町村長たちがどんどん陳情に来る。そのたびごとに口を酸っぱくして、首長の多選は駄目だぞとか、市町村合併やらなきゃ駄目だぞとか、もうどんどん言いまくってるわけですね。それは少なくとも国もそういう何らかの方向性がある以上は、具体性を出していかなきゃいけませんよ。スローガンだけでは駄目ですから。是非、事務当局、そういう心意気で頑張っていただきたいと思います。


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