地方財政の動向と課題

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地域主権改革の推進

政府では、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決められるようにする地域主権改革の推進に取り組んでいます。具体的には「地域主権戦略会議」を中心に、義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大、基礎自治体への権限移譲、国の出先機関改革、「ひも付き補助金」の一括交付金化等の実現に向けた議論が行われています。

1 義務付け・枠付けの見直し

地方公共団体の自治事務について国が法令で事務の実施やその方法を縛っている義務付け・枠付けが多数存在しているため、義務付け・枠付けの見直しと条例制定権の拡大し、地方公共団体自らの判断と責任において行政を実施する仕組みに改めるべく取り組んでいます。

また、地方公共団体の自主性・自立性を高める観点から、財政状況が良好な団体が民間資金債を発行する場合は、原則、協議を不要とするなど、所要の法律等の整備を行うべく取り組んでいます。

2 基礎自治体への権限移譲

都道府県と市町村の間の事務配分を「補完性の原則」に基づいて見直しを行い、可能な限り多くの行政事務を住民に最も身近な基礎自治体が広く担うこととし、所要の法律等の整備を行うべく取り組んでいます。

3 国の出先機関改革

住民に身近な行政はできる限り地方自治体に委ね、地域における行政を地方自治体が自主的かつより総合的に実施できるよう国の出先機関改革を進めています。

4 「ひも付き補助金」の一括交付金化

国から地方への「ひも付き補助金」を段階的に廃止し、平成23年度予算から基本的に地方が自由に使える、一括交付金が創設されることになりました。

5 地方税財源の充実確保

地方が自由に使える財源を拡充するという観点から国・地方間の税財源の配分の在り方を見直すとともに、税源の偏在性が少なく、税収が安定的な地方税体系を構築する取り組みが行われています。

また、地方公共団体が税の面でも創意工夫を活かすことができるよう、地方公共団体の「自主的な判断」と「執行の責任」を拡大し、課税自主権の拡大を図るために改革が進められています。

6 交付税制度の見直し

地方交付税の算定方法の簡素化・透明化の取組の一環として、交付税総額の6%となっている特別交付税の割合を段階的に引き下げ、その部分を普通交付税に移行することとしました。

一方、地方公共団体の財政運営に著しい影響を及ぼすおそれのある大規模災害等の発生時には、12月と3月の定例の決定・交付とは別に、その都度、特別交付税の額を決定・交付することができる特例が新設されました。

また、地方公共団体の自主的・主体的財政運営を図る観点から、事業費補正の更なる縮減を行うこととなりました。

7 直轄事業負担金制度の廃止

平成22年度から維持管理に係る負担金制度を廃止することになりました。

8 地方自治法抜本見直し

地域の住民が自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負うにふさわしいものとしていくという観点から、地方自治法について抜本的な見直しを行っています。