3 優先接続の導入に関する基本的な考え方


(1) 利用者利益の確保
   優先接続は、国民生活に不可欠な電話サービスの利用方法や契約形態に大き
  な変革をもたらすものであるため、その在り方を検討するに当たっては、利用
  者利益(注)の維持・向上を図ることを基本とすべきである。
   特に、電気通信分野は技術革新が著しく、競争の進展とあいまって、ネット
  ワーク系及び端末系において多種多様な機能、サービスが登場することが期待
  されており、利用者がこうした機能、サービスを選択、利用できる機会を増大
  させる方向で検討することが必要である。
   また、優先接続を導入する場合には、それによって、利用者がより簡便な手
  順で電話サービスを利用できるようにすることが望ましく、少なくとも優先接
  続の導入により現在よりダイヤル桁数が増えたり、複雑になるような事態はで
  きる限り回避する必要がある。

  (注) 優先接続と利用者利益 
    優先接続は、もともと諸外国において電気通信分野に競争を導入すること
   により料金の低廉化等利用者の利益を増進しようという政策を実施するに当
   たり、競争導入の結果登場する複数の事業者の事業者識別番号をダイヤルす
   るという利用者の不便性を回避するとともに、各事業者のダイヤル桁数を同
   じにすることにより公正競争条件を確保するための手段として採用されたも
   のである。我が国の場合には競争導入後すでに10年以上経過しているとい
   う事情にあることから、今般優先接続を導入するとする場合には、利用者利
   益の視点から、その必要性をきちんと説明することが求められる。



(2) 公正競争の確保
   優先接続は、そもそも、長距離(中継)サービスに競争を導入する際に、既
  存事業者と新規参入事業者との間の競争条件をできるだけ同等にするというこ
  とが導入の大きな理由の一つとされてきたところであり、今般の優先接続の検
  討に当たっても、この公正競争を確保するという視点が重要なポイントである。
   また、我が国の場合は、競争導入後10年を経過し、その間に例えば長距離
  系NCCがアダプタ等を普及させているといった実態や、国内、国際の統合化
  の動き、市内・近距離分野での競争の進展状況等も踏まえ、優先接続が競争環
  境に実質的にどのような影響を与えるかを検討し、できるだけ競争中立的なも
  のとする必要がある。



(3) 諸外国の制度との整合性の確保
   1998年2月のWTO基本電気通信合意の発効を受けて、世界的に外資規
  制が撤廃され、現在、国境を超えた相互参入が活発化している。このような状
  況の中、各国の電気通信制度は国際的に整合性のとれたものとすることが求め
  られている。したがって、我が国における優先接続の在り方についても、諸外
  国の政策動向や先行導入国の事例を十分参考として検討を進め、できるだけグ
  ローバルスタンダードに配慮したものとすることが必要である。




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