発表日  : 1998年11月30日(月)

タイトル : 携帯電話等の通信抑止機能を有する実験用無線局の免許申請受付開始





 郵政省は、携帯電話等の通信抑止機能を有する無線局について、使用条件と使用
場所を限定した上で、実験局としての開設を一部認めることとし、明日から免許申
請を受け付けることとしました。

1 経 緯
 近年の携帯電話等の普及に伴い、劇場やコンサートホールなどにおいて、携帯電
話等の呼出音が演奏者や観客等に迷惑を与える事例が発生しています。このため、
携帯電話端末等の通信を抑止する機能を備える無線設備を用いた無線局を開設し、
呼出音等による迷惑防止を図りたいとのニーズも出ています。
 しかしながら、このような設備は、携帯電話やPHSの電気通信サービスに深刻
な影響を与える可能性があり、その運用には十分な注意を払う必要があるほか、
ペースメーカー等の医療機器や携帯電話・PHS以外の無線局に与える影響につい
ても十分な検討が行われていない状況にあります。
 そこで、このような無線設備の利用もやむを得ないと認められる一部の場合に限
り、その使用条件や使用場所を限定した上で、実験局としての開設を認め、将来の
実用化の判断に必要な情報を収集することとしたものです。

2 無線局開設の条件等
 (1) 無線設備の設置場所
  ア 無線設備の製造メーカー、携帯電話事業者又はPHS事業者の研究施設
  イ コンサートホール、劇場及び演芸場(開設の条件の考え方は、別紙のとお
   り。)
 (2) 無線局の種別
   実験局
 (3) 無線局の目的
  携帯電話端末等の運用に与える影響及び電波伝搬特性等のデータを取得するた
  めに開設することを目的とするものであること。
 (4) 免許主体
  無線設備の製造メーカー、携帯電話事業者又はPHS事業者のほか、この実験
  局は、コンサートホール、劇場及び演芸場における携帯電話及びPHSの呼出
  音による迷惑防止を図る観点から開設するものであるため、これらの管理者も
  免許主体とする。

3 その他
 このような無線設備を運用する場合は、電波の出力が著しく微弱であり、無線局
の免許を要しないものであっても、2(1)の項目にある設置場所以外の場所で運
用した場合は、電波法に基づき必要な措置を命ずることがあります。
 なお、免許手続等の詳細につきましては、電波利用ホームページ
に掲載する予定です。



                連絡先:電気通信局電波部移動通信課
                担 当:加藤無線局検査官、山下第二業務係長
                電 話:03−3504−4875


                                  別 紙

              開設の条件の考え方


 次の条件を満たしている場所に限定する。
  1)通信の抑止効果の及ぶ範囲が一定の空間に限られ、当該空間(コンサート
  ホール、劇場及び演芸場。以下「コンサートホール等」という。)が不特定多
  数について開かれていないこと。
  2)携帯電話等の通信を抑止することにより、コンサートホール等の入場者の入
  場目的の保護が図られる必要があり、かつ、興行の円滑な遂行が確保される必
  要があること。
  3)コンサートホール等において、携帯電話等の利用者から通信の抑止に係る許
  諾が確保されるものであること。

 なお、この条件においては、設置場所としては、「コンサートホール、劇場、演
芸場」としているが、施設の名称により免許の可否を判断するものではなく、実験
局が開設される場所における興行の目的、内容等によって判断するものとする。
 例えば、美術館や図書館などは、一般的に静謐を保つ必要のある場所ではあるが、
上記条件の2)を満足するものとは考え難いので、当該無線局の開設は認められない
ものである。