資料11 インターネット等の活用による国際業務移動の代替による
      CO2排出削減量の試算



1 試算の考え方
   情報通信の活用による業務移動の代替に関するアンケート調査の結果等を用い、
  情報通信の活用による国際業務移動の代替による2010年度におけるCO2排出削
  減量を試算した。
   2010年度における、我が国国民の国際業務移動に係るCO2排出量(具体的に
  は国際業務移動は全て航空機を用いるとし、航空機用ジェット燃料油の燃焼による
  CO2排出量)の情報通信手段(電話、FAX、TV会議、電子メール)の活用によ
  る削減量を求めた。

2 試算の前提・方法等
  1) 2010年度の業務目的出国日本人数(延数)
   ・実績の推移より次のように設定した(表1)。
    高位ケース:5,700千人(1996年度から2010年度まで年率7%の
    伸び)
   ・低位ケース:3,219千人(1996年度から2010年度まで年率3%の
    伸び)
  2) 国際業務移動の距離
   ・1回の業務目的出国当たり1往復の国際業務移動があるとした。
   ・1995年度実績推計値(9,990km/回)(表2)が今後も変わらない
    と想定した。
  3) 2010年度の日本人の国際業務移動量(人キロ)
   ・1)の延人数に2)の距離を乗じて算出した。
    高位ケース:569億人km
    低位ケース:322億人km
  4) 燃料消費及びCO2排出原単位
   ・国際業務移動は全て航空機によるものとし、消費燃料は利用航空機のジェット
    燃料油(平均発熱量:8,700kcal/l)とした上で、1995年度の
    運輸統計実績値(運輸関係エネルギー要覧)及び環境庁資料より、単位移動量
    当たりの燃料消費原単位及びCO2排出原単位を算出した(表2)。この原単位
    は2010年度まで変化しないものとした。
  5) 情報通信の活用による国際業務移動の削減量
   ・情報通信の活用による業務移動の代替に関するアンケート調査の一般社員向け
    質問票の集計結果より、国際業務移動量年間実績値をA、情報通信手段の活用
    がなければ実施したと想定される国際業務移動量をBとして、B/(A+B)を潜
    在的代替率と考えた。この値は16.6%である(表3)。
   ・現在から2010年度にかけて、国際業務移動を行う者の情報通信の活用が進
    み、2010年度には、全国際業務移動者について、アンケート調査対象者と
    同様の情報通信手段の活用があるものと想定し、上に示した潜在代替率を全移
    動量に乗じることで、情報通信手段の活用による削減分と評価した(1)の20
    10年度の業務目的出国日本人数は、現在と同程度の情報通信手段の活用が継
    続した場合の想定値である)。
   ・情報通信手段の活用イメージは、電話、FAX、電子メール、TV会議の総合
    的利用であり、個々の手段への削減量の配分はできない。

3 試算の結果
  試算の結果得られた日本人の国際業務移動に係るCO2排出量は次のとおりであ
 る。

                           (単位:万t-C)
          
    情報通信の活用    
 情報通信の活用に 
 よる削減量
(a)-(b)
  なし (a) 
  あり (b) 
 1995年度(実績)
      109      
               
    −    
         
2010 年度

 高位 
   300  
   250  
    50    
 低位 
   169  
   141  
    28    
参考)日本発着国際航空便による総CO2排出量実績推計値:1,145万t−C、
   その内、日本人分:804万t−C(1995年度)。

4 留意点
  ここで試算したCO2削減量等の国際間移動のための燃料燃焼に伴うCO2排出
 量は、気候変動枠組条約科学技術補助機関(SBSTA)及び「附属書I締結国 
の第2回通報作成のためのガイドライン」の取り決めで、国際バンカー油分とさ 
れ、我が国の温室効果ガス等の排出の合計には含まれず外数扱いとなっている。


           表1 日本人出国者数の推移
出典)実績値は、法務省「出入国管理統計年報」による。


         表2 国際航空輸送諸元実績 (1995年度)
                  
      運行航空会社      
  国内  
  海外  
  計   
  輸送人数(103人)
  14,474 
      
 (33.2 %) 
  29,096 
      
 (66.8 %) 
  43,570 
      
 (100.0 %) 
  輸送人キロ(106人km)
  72,296 
  145,331 
  217,627 
  平均移動距離(km)
        4,995       
  ジェット燃料消費量(103kl)
   5,700 
  11,458 
  17,158 
  燃料消費原単位(103kl/106人km)
       0.07884       
  CO2排出原単位(t-C/106人km)
        52.6        
  CO2排出量(104t-C)
    380 
    764 
   1,145 
出典)国内運行航空会社分については、運輸省「運輸関係エネルギー要覧」、
   海外運行航空会社分については、(財)日本航空協会「航空統計要覧」等、
   CO2排出原単位については、環境庁資料に基づく。


表3 情報通信の活用による国際業務移動量の代替(アンケート調査結果集計)
                  
                  
 国際業務移動量 
 (片道)(人km) 
 1人回当り移動量 
   (km)    
 年間実績値 1)           
  520,700   
   7,546   
 情報通信の活用による潜在代替量 2) 
 (代替率:2/(1+2)))      
  103,800   
  (16.6 %)  
   12,975   
         
 同 
 上 
 情 
 報 
 通 
 信 
 手 
 段 
 別 
 電話             
                
   25,800   
  ( 4.7 %)  
   6,450   
         
 FAX            
                
   19,500   
  ( 3.6 %)  
   6,500   
         
 TV会議           
                
   41,100   
  ( 7.3 %)  
   10,275   
         
 電子メール          
 (E-mail)          
   82,200   
  (13.6 %)  
   11,743   
         



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