資料12 ビル管理情報システムによるCO2排出削減量の試算
1 試算の考え方
平成元年度(1992年度)の郵政省研究会及び平成5年度(1997年度)
3月に策定された郵政省環境基本計画における試算を更新したものである。
2010年度までのビル管理情報システムの導入規模及びそれに伴う熱回収空
調システムや自動調光照明システム等によるエネルギー消費の減少量を想定し、
2010年度におけるCO2排出削減量(ビル管理情報システムを導入しなかっ
た場合との差分)を求めた。
2 試算の前提・方法等
1)ビル管理情報システムの導入規模
・1997年度から2010年度までの全国の新規着工分の事務所用ビルのう
ち、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリートまたは鉄骨造の構造を有し、
かつ、床面積が5,000m2以上のものすべてについてビル管理情報システム
が導入されると想定した。対象となる新規着工分事務所用ビル床面積は、実績
値の推移より年平均520万m2とした(1997年度から2010年度まで
の14年度分を累積すると7,280万m2となる)。
2)事務所用ビルのエネルギー消費原単位
・現状(1996年度)の事務所用ビルのエネルギー消費原単位(床面積当たり
の用途別エネルギー源別エネルギー消費量)を(財)日本エネルギー経済研究所
の統計データなどに基づき次のように推計した。
(単位:10
3
kcal/m3)
|
空調用
|
動力等
|
その他
|
計
|
電 力
|
16.2
|
108.2
|
0.0
|
124.4
|
ガ ス
|
10.0
|
0.0
|
1.0
|
11.0
|
石油・その他
|
58.4
|
0.0
|
2.2
|
60.6
|
計
|
84.6
|
108.2
|
3.2
|
196.0
|
3)ビル管理情報システムによる省エネルギー率
・ビル管理情報システムの導入により、空調用における外気冷房、排気熱回収、
VAV方式の導入など、動力等におけるセンサ切替方式、自動調光システムの
採用などで省エネルギー化が進むものと考えられる。それら効果を総合した用
途別の省エネルギー率を次のように設定した。
・空調用 35%
・動力等 20%
・その他 5%
4)CO2排出原単位
・燃料種別のCO2排出原単位は環境庁資料及び(財)日本エネルギー経済研究所の
統計データを用いて求めた。2010年度の発電電源構成は1996年度と変
わらないとした。
5)ビル管理情報システムの導入によるCO2排出削減量
・1)で想定した1997年度から2010年度までビル管理情報システムが導入
される新築事務所ビルの床面積に、2)のエネルギー消費原単位を乗じて、用途
別エネルギー種別のエネルギー消費量を求める。これに3)の省エネルギー率を
乗じてエネルギー種別の省エネルギー量を求め、4)のエネルギー種別のCO2排
出原単位を乗じて、ビル管理情報システムの導入による2010年のCO2排出
削減量とした。
3 試算の結果
試算の結果得られた、ビル管理情報システムの導入による2010年度におけ
るCO2排出削減量は次のとおりである。
(単位:万t−C)
|
空調用
|
動力用・その他
|
計
|
電 力
|
4.7
|
18.0
|
22.8
|
ガ ス
|
1.4
|
0.0
|
1.5
|
石油・その他
|
11.6
|
0.1
|
11.7
|
計
|
17.8
|
18.0
|
35.9
|
なお、ビル管理情報システムについては、既に新築の大きいビルには導入される
のが当然と言える状態となっており、今後の新たな対策としての性格は弱いとの指
摘がある。