資料13 電子出版・電子新聞によるCO2排出削減量の試算



1 試算の考え方
  電子出版とは、従来紙媒体で出版されていた書籍等の出版物をCD−ROM等
 の電子媒体によって出版したり、ネットワークを通じて直接消費者へ配信するシ
 ステムをいう。電子新聞は新聞をネットワークを通じて配信するシステムであ 
 る。
  これらのシステムの普及による、2010年度における製造・流通段階のCO2
 排出削減量を、1990年産業連関表から得られる新聞・出版部門の投入・産出
 構造及びCO2排出原単位を用いて試算した。なお、消費段階(閲覧時電力、ハー
 ドコピー出力等の影響)、廃棄段階(再生率、焼却等の影響)の推計は含んでい
 ない。

2 試算の前提・方法等
 1) 電子出版・電子新聞の普及規模
   電子出版・電子新聞は、最近開始されたばかりで、その実数も極くわずかで
  あるため、2010年度における普及状況の有効な推計は困難である。ここで
  は、1990年の書籍、新聞等の発行量の10%が電子出版・電子新聞に移行
  すると仮定した。
 2) 1990年の出版業・新聞業のCO2排出量
   我が国の1990年の産業連関表(総務庁)に示される財・サービスの投入
  産出構造を用い、産業連関表の基本部門である出版部門と新聞部門の部門内C
  O2直接排出量(部門内での化石燃料の直接燃焼による)と、部門外で誘発する
  CO2排出量(部門内の電力消費に伴う発電部門での排出や、部門内で使われる
  機器の製造や、輸送に伴う排出等が含まれる)を次のように求めることができ
  る。部門内直接排出に部門外誘発を加えた排出量は、各部門の製造・流通に伴
  う排出量とみなすことができる。

 財・サービス部門 
     1990年CO2排出量(万t−C)    
 部門内直接排出 
  部門外誘発  
    計   
 出版       
  1.39  
 101.68 
 103.07 
 新聞       
  3.45  
 143.75 
 147.20 
出典)環境庁国立環境研究所資料に基づき作成

 3) 電子出版・電子新聞の普及によるCO2排出削減量
   1990年の産業連関表に示される我が国の財・サービスの投入産出構造が
  2010年度まで変わらないと仮定し、1)の想定に従い、2)で得た1990年
  の出版部門と新聞部門における部門内直接排出に部門外誘発を加えたCO2排出
  量の10%を、2010年度における電子出版・電子新聞の普及によるCO2排
  出削減量とした。

3 試算の結果
  試算の結果得られた、電子出版・電子新聞の普及による2010年度における
 CO2排出削減量は次のとおりである。

      (単位:万t−C)
 電子出版分 
 10.3 
 電子新聞分 
 14.7 
   計   
 25.0 




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