資料14 遠隔教育・在宅教育システムによるCO2排出削減量の試算



  遠隔教育・在宅教育システムとは、インターネット等を用いて、学校教育や社  
会教育をオンラインで行うシステムである。従来の通信教育とは異なり、双方向  
の通信を想定したものであり、過疎地等の教育機関の充実や、長期欠席者のため  
の利用が考えられる。
 ここでは、2010年度の児童・生徒・学生(以下、学生等とする)数を想定し、遠  
隔教育・在宅教育を行った場合に、交通の代替により、交通機関(主に電車、   
バス)の利用が減少し(自家用自動車での通学は考えない)、それに伴いエネル 
ギー消費が減少するものとして、2010年度のCO2排出削減量(遠隔教育・在宅教育 
を行わなかった場合との差分)を求めた。

2 試算の前提・方法等

 
 遠隔教育・在宅教育の導入規模
   2010年度において、学生等のすべてが週1回の遠隔教育・在宅教育を受ける
  ものとした。これにより、通学のための移動量の1/6が削減されると考えた。
 
 通学者数
   現在(1995年度)から2010年度までの通学者数の変化については、今後2010年
  度まで進学率などの就学構造は大きく変化せず、通学者数が7歳から24歳まで 
  の年令の人口に比例するものとし、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推
  計(中位推計)を用いて、2010年度の通学者数は1995年度の74%に減少するとし
  た(表1)。
 
 通学による移動量
  ・平成7年度の旅客輸送人キロ(運輸省「鉄道輸送統計年報」、「自動車輸送統
   計年報」)のうち、「JR定期」と「民鉄定期」のすべて、「営業用乗合バ 
   ス」と「自家用バス」の50%によるものを通勤・通学交通とした。
  ・通勤・通学者のうちの通学者の割合を、運輸省「地域交通年報」の1995年度の
   自宅外従業者数と通学者数の実績値より16%とした。また、通勤と通学の人
   数比と人キロ比は等しいとした(平均通勤距離と平均通学距離を等しい  
   とした)。
  ・2010年度の学生等について、現在と同様の通学パターン(交通手段、距離 
   等)により通学するものとした。
  ・
から2010年度の通学移動量(人キロ)を求める過程を表2に示す。

 燃料消費及びCO2排出原単位
   交通機関のエネルギー消費原単位(人キロ当たり)を、運輸省「運輸関係エ
  ネルギー要覧」より求めた。また、燃料種別の発熱量及びCO2排出原単位を、 
  環境庁資料 及び(財)日本エネルギー経済研究所の統計データより求めた。 
  これらの原単位は現在(1996年度)から2010年度まで変化しないものとした 
 
 遠隔教育・在宅教育の導入によるCO2排出削減量

で求めた2010年度通学移動量(人キロ)のうち、遠隔教育・在宅教育の導入
   により1/6が削減される(の想定)とし、その削減移動量にの原単位を乗
   じてCO2排出削減量を算出した。
3 試算の結果

  試算の結果得られた、遠隔教育・在宅教育の導入による2010年度におけるCO2排
 出削減量は次のとおりである。

    (単位:万t-C)
JR分     
1.32
民鉄分     
0.94
営業用乗合バス分
0.45
自家用バス分  
0.27
   計    
2.98


表1 7歳から24歳人口の将来推計
 年令 
(歳)
   
1995年
(千人)
2010年
(千人)
/
(%)
7-9  
 4,043
3,703 
91.6 
10-12 
 4,441
3,644 
82.1 
13-15 
 4,646
3,596 
77.4 
16-18 
 5,112
3,589 
70.2 
19-21 
 5,786
3,703 
64.0 
22-24 
 5,973
4,028 
67.4 
 合計 
30,001
22,263
74.2 
            出典)国立社会保障・人口問題研             
              究所編「日本の将来人口              
             (平成9年1月推計)」の              
             「中位推計」に基づく




 表2 2010年度における機関別通学移動量(人キロ)の推計
       
       
       
       
輸送人キロ (1995年度)
(106人km)


同左通勤通学割合
(%)


通勤通学 
人キロ 
(106人km)
= ×

同左
通学割合
(%)


JR定期   
110,046  
100   
110,046  
16   
民鉄定期   
 98,933  
100   
 98,933  
16   
営業用乗合バス
 30,635  
 50   
 15,318  
16   
自家用バス  
 23,377  
 50   
 11,689  
16   

       
       
       
       
通学人キロ
(1995年度)
(106人km)
= ×

通学人口
減少比 
(%)


通学人キロ
(2010年度)
(106人km)
= ×

JR定期   
17,647   
74   
13,096  
民鉄定期   
15,865   
74   
11,773  
営業用乗合バス
2,456   
74   
 1,823  
自家用バス  
1,874   
74   
 1,391  



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