資料25 航空機搭載高分解能映像レーダの開発



 郵政省通信総合研究所は宇宙開発事業団と共同で、航空機搭載高分解能映像レー
ダを開発しました。このレーダはマイクロ波帯のXバンド(9.5GHz帯)とLバ
ンド(1.2GHz帯)の2周波の合成開口レーダから構成され、各々の周波数で偏
波を利用して地表面の詳細識別を可能とする機能や、Xバンドでは主従2つのア
ンテナを用いて地形の高さ情報を含む3次元の映像を取得する機能など、世界的に
見ても最先端の機能を備えた航空機搭載映像レーダである。Xバンドのシステムは
通信総合研究所が、Lバンドのシステムは宇宙開発事業団が、各々開発を担当した。

本映像レーダの特徴
 1. 電波を用いて航空写真のように鮮明な地上の映像を取得することができる。
 2. 双発ターボファンジエット機(GulfstreamII)に搭載され、600
   0〜12,000mの高度から、地上の 1.5mの物体の識別が可能。
 3. 雲や雨などの天候に左右されず、昼夜を問わず高い分解能の映像を取得する
   ことができる。
 4. 航空機搭載による高い機動性により、災害等への迅速な対応が可能。

航空機搭載映像レーダの地球環境観測・災害監視への利用
  航空機搭載高分解能映像レーダは、以下のような地球環境観測や災害監視の分
 野をはじめとして、様々な分野での利用が期待されている。
 ● 火山噴火、洪水、火災、地震などの自然災害や都市災害のモニタ
 ● 海洋油汚染の監視,森林破壊や土壌破壊などの地球環境観測
 ● 船舶や航空機の捜索救難
 ● 地形や地質、植生、土地利用の観測
 ● 波浪や海氷などの海洋現象、土壌水分や積雪などの水分過程の観測
 ● 遺跡等の考古学調査や古環境の調査


 通信総合研究所と宇宙開発事業団は、これまでに、予備的な飛行観測実験を行
い、都市域(東京、大阪の都心部等)、山岳部(浅間山、富士山、三原山)、海洋
(日本海油汚染、鳴門渦潮、オホーツク流氷)、鳥取砂丘、中部関東地方の植生な
どを観測し、本映像レーダの優れた機能と性能を確認しました。特に、昨年日本海
で沈没したナホトカ号による原油流出の際には、海上に広がる油汚染に関するデー
タを取得し関係機関に配布した。

GulfstreamIIの機体に取り付けられたXバンド及びLバンド合成開口レーダーアンテナの写真、X-bandによる、東京国際空港の映像と、駐機している航空機の拡大映像の写真



資料編の目次へ戻る