資料30 ISD・京都イニシアティブの概要



 資料30-1 21世紀に向けた環境開発支援構想(略称ISD)の概要
  (Initiatives for Sustainable Development (ISD) toward the 21st Century)

1 ISDの理念
  (1) 人類の安全保障(Global Human Security)
    環境破壊は人類生存の脅威となりうる広い意味での安全保障の問題であ 
     る。
  (2) 自助努力(Ownership)
    途上国が第一義的な責任と役割を担って主体的に環境問題に取り組むこと
     が重要であり、援助国はこうした自助努力を支援する。
  (3) 持続可能な開発(Sustainable Development)
    途上国が持続可能な開発の観点から発展していくために、その国の経済 
     的・社会的状態を勘案しつつ環境協力を支援する。

2 行動計画のポイント(ODAを中心とした我が国の国際環境協力)
  (1) 大気汚染・水質汚濁・廃棄物対策
    1)「東アジア酸性雨モニタリング・ネットワーク」の提唱
    2)「環境センター」を通じた途上国の環境部局の強化を行う
    3) 資金・技術協力(汚染源対策、リサイクル等、「グリーン・エイド・プ
      ラン」の活用)
  (2) 地球温暖化対策
    省エネルギー、新エネルギー技術の世界的な普及を図る。
  (3) 自然環境保全、森林・植林
    1)「インドネシア生物多様性センター」を拠点として、東アジア地域の生
      物多様性の情報ネットワーク化を行う。
    2) アジア・太平洋地域において「サンゴ礁保全研究センター」を設置し、
      地域のサンゴ礁保全研究ネットワークを形成する。
    3) 社会林業プロジェクトや円借款による広域にわたる住民参加型植林を進
      めていくとともに、国際熱帯木材機関(ITTO)への貢献を強化す 
      る。
  (4) 「水」問題への取り組み
     浄水場、上下水道網、井戸等の整備を進めていく。
  (5) 環境意識向上・戦略研究
    1) 日中間の政府・地方自治体・民間の包括的な取り組みである「日中環境
      協力総合フォーラム」やアジア太平洋地域の環境大臣や国際機関による
     「エコ・アジア」を通じ、政策対話を進めていく。
    2) 草の根無償援助による環境教育プログラムの積極的支援を行う。
    3) 地球環境問題に対する新たな政策手段の開発等を行う「地球環境戦略研
      究機関」を設置し、国際的なネットワークづくりを進める。

 資料30-2 京都イニシアティブの概要

1 概要
 ISDの行動計画に基づく温暖化対策途上国支援策

2 京都イニシアティブの理念
  (1) 人類の安全保障(Global Human Security)
    地球温暖化問題は、人類生存の脅威であり、広い意味での安全保障の問題
    である。
  (2) 自助努力と連帯(Ownership & Partnership)
    温暖化対策は、途上国が主体的に取り組むとともに、地球的規模の問題解
    決のため先進国と途上国が共同して対処することが重要である。
  (3) 持続可能な開発(Sustainable Development)
    開発と環境保全の両立を目指し、温暖化対策と経済開発の双方に資する適
    切な技術移転や資金協力を実施していく。また、貧困が環境破壊の要因と
    なっている国においては、貧困からの脱却を図るための支援を行う。

3 京都イニシアティブの3つの柱
  (1) 「人づくり」への協力
    平成10年度から5年間で、3000人の温暖化対策関連分野の途上国におけ
    る人材育成に協力する。
    1) 大気汚染
    2) 廃棄物
    3) 省エネルギー
    4) 森林の保全・造成
  (2) 最優遇条件(0.75%、40年)による円借款
    温暖化対策関連分野への協力を積極的に進めていくため、主として以下の
     ような分野に対して国際的に最も譲許的な条件(金利0.75%、償還期
     間40年)の円借款を行う。
    1) 省エネルギー
    2) 新・再生可能エネルギー
    3) 森林の保全・造成
  (3) 我が国の技術・経験(ノウハウ)の活用・移転
    我が国の公害・省エネ対策の過程での技術・経験(ノウハウ)を活用し、
    温暖化対策に関する途上国の実状に適合した技術の開発・移転、調査団の
    派遣やワークショップの開催を行う。
    1) 工場診断調査団の派遣
    2) 技術情報ネットワークの整備
    3) 途上国の実状に適合した技術の開発・移転
    4) ワークショップの開催

 資料30-3 京都イニシアティブの拡充

1 概要
  京都イニシアティブの3本柱のひとつである「最優遇条件による円借款」の強
 化拡充及び国際機関を通じた支援の強化。COP3後半の平成9年12月8日に
 発表。

2 内容
  (1) 温暖化対策案件対象分野の拡充・提示
   ・ 最優遇条件の対象となる円借款案件対象分野の大幅拡充
   ・ 新たに対象分野を例示(後添)
   ・ 従来は環境案件として取り扱われなかった分野の取り込み(渋滞緩和のた
    めの都市大量交通システム、環境負荷が大きくない水力発電所、天然ガス
    発電関連設備等)
  (2) 中進国金利のさらなる引き下げ
   ・ 中進国向け金利を2.5%から1.8%に引き下げ
   ・ 中進国:一人当たりGNPが$3,035を超える国々−マレーシア、ブ
     ラジル、メキシコ、チリ、南アフリカ、ハンガリー、チェコ等
  (3) 国際機関を通じた支援の強化
   ・ 環境関係国際機関(GEF、UNEP等)への資金面での貢献の拡充。
   ・ 国際機関を通じた環境分野での技術援助等について資金面での貢献の拡 
    充。
   ・ 優良な地域的な国際機関等に対して円借款を供与し、地域環境案件を実 
    施。

  * 温暖化対策円借款案件対象分野例示
       1 省エネルギー
         ・省エネルギー設備の購入・設置
         ・省エネルギー・省資源を目的とした発電所、送配電線、鉄 
           道、工場等の高規格化、リハビリ
         ・地域熱供給
       2 新・再生可能エネルギー
         ・太陽光発電
         ・風力発電
         ・廃棄物発電及び熱利用
         ・太陽熱利用
         ・バイオマスエネルギー
         ・地熱発電
         ・水力発電(環境への負荷が大きくない案件に限る)
         ・天然ガス発電、受入基地及びパイプライン
       3 森林の保全・造成
         ・植林、森林保全
       4 大気汚染対策
         ・大気汚染防止施設の設置
         ・大気汚染防止のための都市ガス化



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