3 国民・企業と政府との間の情報化 申請・届出等手続のオンライン化を一部実施  政府では、社会全体の情報化の進展に対応するとともに、国民に対しITを活用したより広範な行政情報の提供、行政手続にかかる国民負担の軽減への要請に的確に対応していくため、国民・企業と政府との間の情報化を推進している。 1)ホームページを活用した情報提供  政府では、「行政情報化推進基本計画の改定について」に基づき、インターネット・ホームページを活用した行政情報の提供を進めており、国の行政機関1府12省庁においては既に全てホームページの開設が完了している。なお、現在、施設等機関、地方支分部局、特別の機関を含めた国の行政機関全体では1,215(対前年比39.0%増加)のホームページが開設されている(図表1))。  また、政府では行政情報の電子的提供の総合的かつ計画的な推進のため「行政情報の電子的提供に関する基本的考え方(指針)」(平成13年3月29日行政情報化推進各省庁連絡会議了承)を策定し、ホームページを活用した行政情報の電子的提供について全省庁共通のカテゴリーを設け、掲載内容を1)行政組織、制度等に関する基礎的な情報、2)行政活動の現状等に関する情報、3)予算及び決算に関する情報、4)評価等に関する情報、5)各区分に共通する情報の5つに分類している(図表2))。この「基本的考え方」を受け、各省庁は「電子的提供の推進に関する実施方針」を策定し、ホームページを活用した行政情報の提供の充実を図ることとしている。  さらに、総務省では平成13年4月1日からインターネット上で「電子政府の総合窓口システム」の運用を開始している(図表3))。これは、政府が電子的に提供する情報に対し、国民・企業が一元的にアクセスできるようにしたもので、いわば行政情報のポータルサイトというべき内容であり、24時間365日いつでも利用が可能となっている。主な内容としては、1)ホームページ等検索システム(各省庁のホームページに掲載されている全ての情報の検索が可能)、2)総合行政文書ファイル管理システム(情報公開の対象となる政府の行政文書情報の検索が可能)、3)総合行政サービスシステム(国民・企業と政府との間の申請・届出等の行政手続に関する情報をフリーキーワードで検索が可能)、4)法令データ提供システム(現行の法律・政令・省令の検索が可能)の4点が挙げられる。 2)申請・届出等手続のオンライン化  インターネット等を利用した申請・届出等手続のオンライン化については、「申請・届出等手続の電子化推進のための基本的枠組み」(平成12年3月31日行政情報システム各省庁連絡会議了承)に基づき各省庁がアクション・プランを策定しており、平成15年度には政府全体において9,960件の手続のオンライン化を目標としている(図表4))。なお、平成12年度までにオンライン化された手続は123件となっており、今後、各個別手続のオンライン化実施時期の前倒しなど、既存のアクション・プランについて見直しを行い、新たなアクション・プランを平成13年度早期に策定することとしている。  また政府では、オンライン化の各取組に際しては、認証システム(注)など、その共通基盤となる制度・システムについて整備を進めることとしている。総務省では平成13年内に総務省認証局の運用開始を予定しており、また行政機関の発行する官職証明書等や申請者側の証明書の有効性確認が行えるブリッジ認証局についても平成13年度から運用を開始している。  このような申請・届出等のほか、平成12年度より総務省の「通信産業動態調査」(承認統計)において、調査データの報告等をオンライン化しており、調査対象企業約200社のうち、およそ90%がインターネット経由で調査に対する回答を行っている(図表5))。報告者は、ホームページ上から、事前に総務省より通知されたユーザーID及びパスワードを入力し、画面の指示に従って回答内容を入力することで調査への回答を済ませることができ、従来の郵送やファクシミリによる回答に比べ報告者にかける負担を大幅に軽減することができる。一方、行政側もインターネット・ホームページを活用することにより、調査データの入力・審査・集計・分析等、業務の効率化・迅速化を図ることが可能となっている。 3)公共事業・非公共事業における調達・入札手続の電子化  政府では、公共事業・非公共事業における電子化を推進しており、競争参加資格審査申請、審査結果の通知、発注予定情報の公開、発注情報の公開、入札、入札結果の通知など、政府調達に関する一連の業務において電子化を推進している。  公共事業を除く政府調達手続においては、「バーチャル・エージェンシーの検討結果を踏まえた今後の取組について」に基づき、総務省が中心となって、従来各省庁個別に行っていた資格審査を統一し、ホームページ上から申請が可能なシステムの運用を平成13年1月より開始している(図表6))。また、各省庁の調達情報を一元管理する統合データベースを構築し、平成13年度より専用ホームページから統一的な情報提供を行っている。さらに、平成15年度までにインターネット等を用いた電子入札・開札を導入すべく取組を推進している。  他方、公共事業においても、国土交通省を中心にオンライン化への取組が進められ、平成13年4月より国土交通省直轄事業の発注予定情報、発注情報、入札結果を一元的に集約、格納し、検索を可能とする入札情報サービス(PPI:Public Works Procurement Information Service)(注)の運用を開始している。また、電子入札への取組も進めており、同年10月より一部の直轄事業において開始する予定である。  このような動きを踏まえ、総務省郵政事業庁では、施設業務の効率化・高度化を目的として推進している施設業務の電子化プロジェクト、「施設CALS(Continuous Acquisition and Life-cycle Support)」の一環として、施設契約事務手続の電子化へ向け、平成16年度までの運用開始を目指し、電子入札を含めたシステムの開発に取り組んでいる。 図表1) ホームページ開設状況 図表2) 各省庁がホームページに共通のカテゴリーを設け掲載する情報 図表3) 電子政府の総合窓口システムの概要 図表4) 申請・届出等手続のオンライン化計画(各省庁合計) 図表5) 通信産業動態調査のオンライン報告 図表6) 政府調達(公共事業を除く)における資格審査の電子化 (注)行政機関側の認証システム:行政機関において官職証明書等を発行するシステム  申請者側の認証システム :電子署名・認証法に基づき、認定を受けた事業者であって、ブリッジ認証局と相互認証を行ったシステム又は法務省商業登記認証局のシステム (注)従来各地方整備局や各工事事務所等において、掲示板や閲覧等で公表していた発注予定情報、発注情報(入札公告等)、入札結果を、1か所のホームページにアクセスすることにより、一元的に入手、検索することを可能にするサービス。