5 海外の動向 国際間におけるデジタル・ディバイドはグローバルな課題  平成12年7月の九州・沖縄サミットにおいて、IT憲章が採択され、国際間におけるデジタル・ディバイドの是正が今後の国際社会における課題の一つとして大きく取り上げられ、G8各国を中心として、発展途上国などとの間におけるデジタル・ディバイドの解消を目指した努力がなされているところである。  そこで、このような国際間デジタル・ディバイドの現状をみていくこととする。インターネット利用率について、地域別の現状をみていくと、2000年2月現在では、米国・カナダが全世界のインターネット利用者の49.4%を占めていたが、2000年11月にはその割合が減少し、41.1%になっている(図表1))。他方、ヨーロッパ、アジア・パシフィック、南アメリカが、全世界の利用者に占める割合を伸ばしている。これは、米国・カナダにおいては、すでにインターネット利用者が相当数に達し、伸び率が鈍化しているのに対して、他地域では高い伸び率で利用者が増加しているためと想定される。  このように、地域間におけるインターネット利用者数の格差は減少していく方向であるのに対して、先進国と発展途上国の間における格差は依然として大きなものとなっている。世界各国の一人当たりGNPとインターネット利用率を比較すると、一人当たりGNPが10,000米ドル以上の国においては、インターネット利用率の各国平均が31.0%であるのに対して、1,000米ドル以上、10,000米ドル未満の国においては3.2%、1,000米ドル未満の国においては0.2%となっている。この各国の一人当たりGNPとインターネット利用率を平面上に配置してみると、一人当たりGNPが1,000ドルを下回る国の場合、いずれの国においてもインターネット利用率は数%にとどまるが、一人当たりGNPが上がるのにともない、急激にインターネット利用率が向上している様子が分かる(図表2))(注)。このことからも、発展途上国におけるインターネット普及には、先進諸国の一層の支援が必要であるものと考えられる。 図表1) 世界のインターネット利用者数における地域別割合の推移 図表2) 各国の一人当たりGNPとインターネット利用率の関係 (注)各国の1人当たりGNPとインターネット利用率について インターネット利用率を被説明変数、各国の一人当たりGNPを説明変数とする回帰分析を行った。 回帰統計については以下のとおり。 なお、使用データは     各国の一人当たりGNP・・・・・・「1998年ATLAS」(世界銀行)     インターネット利用率・・・・・・NUA社調べ(平成13年3月) を用いた。