第2節 競争力あるビジネスの創出 要旨 第2節のポイント  ITは、ビジネスの側面においては、経営の能率や生産性の向上、新たな事業の創出や就業の機会の増大などに寄与する。第2節では、これらの目的のために、企業はITを活用できているかどうかについて取り上げる。企業によるITの活用は大きく分けて、一般企業(IT using industry)が情報化投資によりITをツールとして事業に利用していく場合と、IT企業(IT producing industry)がITに関する製品やサービスを提供するという、ITそのものをビジネスとする側面に分けられる。前者については、まず情報化投資をマクロ的にとらえ、我が国経済に与える影響を把握し、次いで各企業における情報化投資の状況を分析している。後者については、今後の動向が注目されるいくつかのインターネットビジネス市場の将来予測と今後の我が国経済活性化に重要な役割を果たす情報通信ベンチャー企業の現況を分析してみた。 (情報化投資の動向とマクロ経済) ○我が国における平成12年の民間情報化投資額は、約20.8兆円(対前年比21.7%増)になり、平成2年と比較するとこの10年間で約2倍に増加している。 ○情報化投資を実施することによる我が国経済への波及効果については、各産業に及ぼす生産誘発額が38兆6,159億円、創出される雇用は約149万人と推計される。 ○我が国における平成12年の情報通信資本ストックは、約44.0兆円(対前年比13.3%増)であり、平成2年と比較するとこの10年で約2倍となっている。 ○平成7年〜12年における我が国における情報通信資本の寄与率は、経済成長率の79.0%と、情報通信資本は、同期間における経済成長を牽引・下支えしてきたといえる。 (我が国上場企業における情報化投資の現状) ○上場企業における情報化投資については、1)「基盤整備型」、2)「コスト削減型」、3)「付加価値創造型」に分類が可能であり、1)、2)、3)の順に高い取組状況となっており、効果の認識度も高い。 ○情報化投資効果を発現させるためには、業務内容やワークフローの見直し、経営トップの強い意志、従業員の教育・訓練、組織・体制の変革等が必要であると認識している。 ○業務内容や業務の流れの見直しについて、社内のペーパーレス化、情報共有の推進等企業内においては積極的に取り組んでいる一方、社外取引のペーパーレス化、取引方法の見直し等社外と関連する業務の見直しを行っている企業は相対的に少ない。 ○情報化の効果に対する認識は、全体の約6割の企業がコストに見合った効果を認識しており、情報化による効果についておおむね前向きにとらえている。 (成長するインターネットビジネス) ○電子認証ビジネスの市場規模は、平成13年度において63.4億円、同18(2006)年度には419.5億円と、約7倍になることが予想される。 ○データセンタ市場規模は、平成13年度において1,371.4億円、同18(2006)年度には4,317.2億円と、約3倍になることが予想される。 ○ASP市場規模については、平成13年度において、60.3億円、同18(2006)年度には1,076.5億円と、約18倍になることが予想される。 ○eラーニング市場規模については、平成13年度において290.0億円、同18(2006)年度には1,984.6億円と約7倍になることが予想される。 (情報通信ベンチャー企業の役割と起業環境) ○ベンチャー企業が産業活性化に与える影響は大きく、中でも成長産業と考えられる情報通信産業における情報通信ベンチャーの育成は、経済活性化を図る上で重要であると考えられる。 ○情報通信ベンチャー企業は資金調達や販売・マーケティング面等課題に対する解決方法として企業連携を活用する傾向にある。また、ネットワークを重視する傾向のある情報通信ベンチャー企業を中心としたベンチャー集積地が各地に見られる。 @@