(2)電子政府の推進 −「総務省電子申請・届出システム」の一部運用が開始 (1)国民・企業と国との間のオンライン化  国民・企業と国との間のオンライン化とは、インターネットを中心としたITの活用によって、広範な行政情報の提供や行政手続に係る国民・企業の負担軽減等の要請に的確に対応するなど、行政サービスの質的向上を図るものであり、主なものとしてはホームページによる行政情報の電子的提供、申請・届出等手続のオンライン化等が挙げられる。ホームページの開設状況についてみると、既に国の行政機関 1府12省(各府省の外局を含む。)のうち、本省庁ではすべてホームページが開設されており、平成13年度末における国の行政機関全体のホームページ開設数は1,310となっている(図表1))。  申請・届出等手続のオンライン化状況についてみると、「e-Japan重点計画」において、国の行政機関が扱う手続については、国民等と行政との間の実質的にすべての手続を、平成15年度までのできる限り早期にインターネット等で行えるようにすることとされており、それを受け、各府省では手続のオンライン化に向けたアクション・プランが策定されている。また、申請・届出等に限らず法令に基づく行政手続について、書面による手続に加え、原則としてすべてオンラインによる手続も可能とするための法整備として、「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律案」が国会に提出される予定である。既に平成13年度末において590件(実施率5.3%)の手続がオンライン化されており、今後、平成14年度末には3,895件(同35.0%)、平成15年度末には10,868件(同97.7%)の手続についてオンライン化を完了することとしている。さらに、現在、「e-Japan重点計画、e-Japan2002プログラムの加速・前倒し」(平成13年9月IT戦略本部)を踏まえ、オンライン化時期の前倒し、行政手続の簡素化、合理化等の観点から、各府省において既存のアクション・プランの見直し作業が実施されており、今後更なる推進へ向けた取組が期待されるところである(図表2))。  申請・届出等手続のオンライン化の具体的な取組として、総務省では平成14年3月に「総務省電子申請・届出システム」(http://www.shinsei.soumu.go.jp/)の一部運用を開始しており、10の行政手続について電子申請の受付を開始するとともに、行政手続のオンライン化に対する国民の理解を深めるため、電子申請の体験コーナー(http://www.taiken.soumu.go.jp/)を開設している。 (2)行政機関内部の情報化  行政機関内部の情報化とは、ITの活用によって業務や情報管理のシステム化を図り、事務・事業の簡素化・効率化及び行政運営の高度化を推進するとともに、国民・企業と国との間のオンライン化を実現するための情報通信基盤の整備に資するものであり、主なものとしてはパソコン等の情報通信機器の整備、庁内や省庁間におけるネットワークの構築、これらの基盤を活用した行政事務のペーパーレス化等が挙げられる。国の行政機関におけるパソコン整備状況についてみると、平成13年度末には国の行政機関全体(文部科学省の国立大学関係を除く。)でパソコン一台当たりの職員数が1.2人となっており、一人一台パソコンに向けた取組が着実に進展している。また、機関区分別(注)にみると、内部部局(一台当たりの職員数0.9人)と独立行政法人(同0.4人)では、既に一人一台パソコンが達成されており、今後は施設等機関(同2.2人)、特別の機関(同1.9人)、地方支分部局(同1.2人)における整備が進展することが期待される(図表3))。  整備されたパソコンについてネットワークへの接続状況をみると、平成13年度にはLANに接続(77.7%)とLAN以外のホストに接続(2.2%)を合わせておよそ8割のパソコンが何らかの形でネットワークに接続されており、行政機関内部におけるネットワークの整備が進展していることが分かる(図表4))。  さらに、平成9年1月より各省庁のLANを接続する省庁間ネットワークとして、霞が関WANの運用が開始されており、複数の省庁にわたる電子メールの送受信や情報共有等における情報通信基盤として活用され、平成13年度末までに、連絡、通知等各府省共通でペーパーレス化すべき57事務の約8割が電子化済(一部電子化を含む)となっている。 図表1) 国の行政機関におけるホームページ開設数 図表2) 国の行政機関における申請・届出等手続のオンライン化手続数 図表3) 国の行政機関におけるパソコン整備状況 図表4) 国の行政機関におけるパソコンのLAN接続状況 (注)「内部部局」とは、国家行政組織法(昭和23年法律第120号)第7条及び第20条に定める官房、局等を、「施設等機関」とは、同法第8条の2に定める文教研修施設、矯正収容施設等の機関を、「特別の機関」とは、同法第8条の3に定める在外公館、検察庁等の機関を、「地方支分部局」とは、同法第9条に定めるブロック単位、都道府県単位に置かれる機関をいう