(3)住民・企業との情報交流の電子化 −余暇やまちづくりに関連した分野では電子会議室による意見交換の期待が大きい  インターネット等を利用した地方公共団体と住民・企業との双方向のコミュニケーションである「住民・企業との情報交流の電子化」は、地方公共団体における住民・企業の意見・要望の聴取が容易となることに加え、行政サービス提供窓口の多様化に資するものとして、その取組が推進されている。既に「住民・企業との情報交流の電子化」による行政サービスの提供・検討を行っているものについてみると、主に電子メールを活用した「問合せ・回答の電子化」と、主に地方公共団体ホームページ内に設置された電子会議室を活用した「意見交換の電子化」に分類することができる(図表1))。  そこで、「住民・企業との情報交流の電子化」を「問合せ・回答の電子化」と「意見交換の電子化」に分類し、それぞれに対する期待を住民・企業に聞いたところ、住民では、「住民記録関係」、「医療・保健」、「高齢者・障害者福祉、年金」といった住民生活に密接に関連した行政分野において「問合せ・回答の電子化」に対する期待が大きい結果となった。他方、「文化財・観光・レクリエーション」、「都市計画・基盤・交通」、「生涯学習・芸術・スポーツ」といった余暇やまちづくりに関連した分野では、「意見交換の電子化」の割合が高くなっている(図表2))。  また、企業では、「産業・企業活動支援」、「都市計画・基盤・交通」において「問合せ・回答の電子化」に対する期待が高く、「雇用支援・失業対策」、「企業向け融資・補助金」において「意見交換の電子化」に対する期待が高いものとなっている(図表2))。  札幌市では、行政情報の積極的な提供、地域社会における行政情報の共有化を図り、市民・企業・行政のパートナーシップによる政策形成のための建設的な市民議論の場を形成するため、電子会議室、インターネットを活用したアンケートや意見募集等の機能を備えた「eトークさっぽろ」(http://www.infommunity.city.sapporo.jp/)を札幌市役所ホームページ上に開設している(図表3))。同サイトにおける主要なコンテンツの一つである電子会議室についてみると、平成13年度は、経済、社会、文化等の多様な面から札幌の元気化計画を語りあう「『好きです、さっぽろ』フォーラム」、札幌市のホームページ編集を議論する「札幌市ホームページ編集会議」、子供を取り巻く環境を議論する「子どもの“居場所”研究会」、インターネット上での学習を議論する「ネットの中に「大学」をつくる」の4つが開設され、4か月間で、のべ800以上の発言が行われるなど、様々な意見交換がなされている。また、ここでの議論を踏まえ、例えば、「札幌市ホームページ編集会議」における住民からの意見を基にホームページの見直しを迅速に行うなど、行政が具体的な対応を行うケースも現れており、インターネットを活用した住民と行政との新たな情報交流の場としての役割を担っている。 図表1) 住民・企業と地方公共団体との情報交流(イメージ) 図表2) 主な住民・企業と地方公共団体との情報交流に対する住民・企業の利用意向 図表3) 札幌市「eトークさっぽろ」