(3)インターネット活用の効果と影響 −9割以上が、「生活が便利になった」と感じ、「情報収集の高度化」等の効果を感じている (1)インターネット活用の効果  インターネットの活用は、利用者に対して、様々な便益を与えるものと考えられる。高度情報通信ネットワーク社会形成基本法第5条では、高度情報通信ネットワーク社会実現の目的として、「生活の利便性の向上」、「生活様式の多様化の促進」、「消費者の主体的かつ合理的選択の機会の拡大」が列記されている。そこで、この3点について、インターネット利用者がどのように評価しているかについて、調査したところ、「生活が便利になった」と考える人はインターネット利用者の9割を超え、ほとんどのインターネット利用者が生活の利便性の向上について効果があったと評価している。また、「自分にあったライフスタイルの選択が可能となった」と考える人も、7割を超え、ライフスタイルの多様化についても高い評価となっている。他方、「より上手な消費が可能となった」と考える人は5割強と相対的に低い評価にとどまっている(図表1))。この点は、前述のインターネットショッピング利用率が5割強と2人に1人の割合にとどまっていることが影響していると考えられる。 (2)インターネットの活用が従来の生活活動に与える具体的効果  インターネットは、日常生活の中で、様々な手段として活用されており、国民生活に大きな効果を及ぼしている。  パソコンでのインターネット活用においては、「専門的・希少な情報の収集が可能となった」(94.1%)、「雑誌や書籍等に比べ、情報が迅速に収集できるようになった」(93.8%)、「商品を購入する際の情報収集手段が豊富になった」(90.0%)、「新聞やTVに比べ、リアルタイムに情報が入手ができるようになった」(90.0%)といった「情報収集の高度化」に効果を感じている利用者が多い。  また、「自宅に居ながら用事を済ますことができるようになった」(77.3%)、「好きな時間に用事を済ませることができるようになった」(74.2%)といった「時間・空間制約からの開放」についてもおおむね4人に3人が効果を感じている。  しかしながら、「自分の意見を外部に発信できるようになった」(63.1%)、「知人を作る機会が多くなった」(42.8%)といった「社会活動の活性化」については、効果を感じている利用者は比較的少なく、必ずしも一般的な効果とはなっていない。ただし、「社会活動の活性化」のうち、電子メール等の利用により「手紙に比べ、意思伝達が簡便・迅速にできるようになった」(84.2%)点については、多くの利用者が効果を感じている(図表2))。  なお、携帯電話でのインターネット活用においては、携帯電話の特徴である「時間・空間制約からの解放」を感じている利用者が最も多い結果となった(図表3))。 (3)インターネット活用がライフスタイルに与える影響  インターネットの活用によって、利用者のライフスタイルに変化が生じつつある。インターネット活用に伴う時間配分の変化について回答を求めたところ、インターネットの活用により、「新しい友人を作ること」、「友人・家族との会話の頻度・時間」、「地域コミュニティーに参加すること」等は増加したとの回答が多く、インターネットの活用が社会活動の活性化を促していることがうかがえる。他方、インターネットを活用することにより、「TVを見ること」「雑誌を見ること」等のメディア行動は減少する傾向がみられる。また、「趣味等に対する支出」、「外食・イベント等で外出すること」、「旅行をすること」等、インターネットの活用による消費支出の拡大も認められる(図表4))。 図表1) インターネット活用の効果 図表2) パソコンでのインターネット活用が生活に与える効果(「とてもそう思う」及び「そう思う」と回答した割合) 図表3) 携帯電話でのインターネット活用が生活に与える効果(「とてもそう思う」及び「そう思う」と回答した割合) 図表4) インターネット活用がライフスタイルに与える影響