コラム2 MVNO −我が国においてMVNOの事業化が進展  MVNO(仮想移動体通信事業者:Mobile Virtual Network Operator)とは、移動系通信分野において、周波数の割当てを受けず、既存の第一種電気通信事業者(MNO:Mobile Network Operator)の提供する電気通信役務を利用して、エンドユーザーに対して移動通信サービスを提供する電気通信事業者である(図表1))。  固定系通信分野においては、インターネット接続事業者にみられるように、第一種電気通信事業者から役務提供を受けてエンドユーザーにサービスを提供する第二種電気通信事業者が存在しており、第一種電気通信事業者間のみならず、第一種電気通信事業者と第ニ種電気通信事業者の競争等、多様な競争が実現している。他方、移動系通信分野においては、周波数の制約から事業者数が限定されており、第一種電気通信事業者間の競争は活発に行われているものの、再販市場が極めて限定的な状況にある。しかし、1)移動通信サービスの普及に伴い、ユーザー側にきめ細かい付加価値サービスに対する需要が顕在化しつつあること、2)平成13年6月の電気通信事業法改正により卸電気通信役務制度が整備され、より柔軟な条件でMNOからMVNOへの役務提供を行い得る環境が整備されたこと等により、近年MVNOに対する注目が高まっている。  具体的な動向として、英国ではVirgin Mobileが1999年11月にMVNOとして携帯電話事業に参入し、ユーザーの使い勝手の良さを徹底的に追求することによって、2002年1月には150万を上回る加入者を獲得している。また、我が国においても、平成13年10月に日本通信がMVNOとして企業向けのデータ通信サービスの提供を開始するなど、MVNOの事業化が進展しつつある(図表2))。  今後、エンドユーザーに高い付加価値サービスを提供するMVNOが市場に参入することにより、事業者間の競争の更なる活性化を通じ、通信サービスの多様化・低廉化が進展することによって、ユーザー利益の実現に資することが期待されている。 図表1) MVNOの概要 図表2) 我が国におけるMVNOの例