コラム3 IP電話 −ブロードバンドネットワークを活用したIP電話サービスが登場  インターネットの普及に伴い、音楽・動画配信やネットワーク対戦型ゲーム等、インターネットを活用したアプリケーションの高度化・多様化は急速に進展しつつある。とりわけ、ネットワークの一部又は全部にIPネットワーク技術を利用して音声電話サービスを提供する「IP電話(注)」の発展は著しく、既に広く一般的に利用可能な状況となっている。  我が国におけるIP電話の発展経緯についてみると、概要は図表1)のとおりである。我が国におけるIP電話は、インターネット網を介して、パソコンからパソコンへ電話をかけるPC-to-PC型、パソコンから一般加入電話へかけるPC-to-Phone型、一般加入電話相互間で利用されるPhone-to-Phone型へと発展しており、端末の多様化が進展していることがうかがえる。また、インターネット網を利用するIP電話は、長距離通話や国際通話において低廉な料金で電話サービスを提供する一方、トラヒックの状況等により通話品質が不安定であるとの指摘がなされていたが、平成13年4月には、中継網としてインターネット網の代わりに専用のIP網を活用することで通常の一般加入電話とおおむね同水準の通話品質を維持するIP電話サービスが登場するなど、通話品質に向上がみられる。  さらに、近年におけるADSLやケーブルインターネットの急速な普及に代表されるインターネットのブロードバンド化の進展等により、電話機からゲートウェイまでの接続をADSL等のブロードバンドネットワークを活用したIP電話サービスも開始されている(図表2))。一部のインターネット接続サービス提供事業者では、電話の発信者・受信者がともに自社のブロードバンドネットワークを利用している場合、地域電話会社の保有する公衆電話網(PSTN)を経由しないことから接続料金の支払が不要となるため、契約者に対して無料でIP電話サービスを提供する例も現れており、今後更なる電話料金の低廉化が期待されているところである。 図表1) 我が国におけるIP電話の発展経緯 図表2) ブロードバンドネットワークを活用したIP電話サービスの概要 (注)「IP電話」のうち、WWW等のアプリケーションに利用されるものと同じインターネット網を利用するものを「インターネット電話」という場合もあるが、ここでは特に区別していない