第2節 情報通信新時代に向けた政策展開 1 IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策 −電気通信事業の競争環境整備に関する情報通信審議会答申  21世紀における我が国経済の更なる発展及び豊かで活力のある社会の実現のためには、ITを活用した我が国社会経済構造の改革が喫緊の課題となっており、電気通信事業についても、IT革命を推進する原動力となる基幹的産業として、21世紀に向けてより一層の発展、活性化を図っていくことが求められている。そこで、郵政省(現総務省)は、平成12年7月に電気通信審議会(現情報通信審議会)に対し、電気通信事業における公正な競争環境を整備すること等を目的として、IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方について諮問した。  これに対し、電気通信審議会より平成12年12月に第1次答申が公表され、総務省ではこれを受けて第151回通常国会に「電気通信事業法等の一部を改正する法律案」を提出、同法案は、平成13年6月に成立・公布され、同年11月より施行された。この法改正では、1)市場支配力を有する電気通信事業者の反競争的行為を防止、除去することを目的とした非対称規制の整備(3-2-2参照)、2)専ら電気通信事業者の電気通信事業の用に供する電気通信役務(卸電気通信役務)の制度整備、3)電気通信設備の接続等に関する電気通信事業者間の紛争等の円滑かつ迅速な処理を図るための電気通信事業紛争処理委員会の設置(3-2-3参照)、4)ユニバーサルサービス(基礎的電気通信役務)の提供の確保に係る制度の整備(3-2-4参照)、5)東・西NTTの経営自由度を高めるための業務範囲の拡大、等を主な内容としている。  さらに、平成14年2月には、同審議会より、第2次答申が公表された(図表)。本答申では、1)第1次答申における積み残しの課題であった通信主権の問題、2)昨今の急激な競争市場の変化に対応したネットワークの一層のオープン化、3)行き過ぎた競争から派生する消費者支援政策などの新たな課題、4)ユニバーサルサービス基金の具体的制度設計などの在り方に関する提言がなされている。今後総務省では、同答申を踏まえ、所要の措置を講じていくこととしている(なお、同審議会では事業区分の在り方を中心に、引き続き審議が行われているところである。)。 図表 IT革命を推進するための電気通信事業における競争政策の在り方についての第2次答申の全体像