8 ITによる地域振興 −情報通信産業特別地区制度の創設等  米軍の施設・区域が沖縄県に集中し、住民の生活環境や地域振興に大きな影響を及ぼしている現状を踏まえ、沖縄県が地域経済として自立し、雇用を確保することによって、県民生活の向上に資するとともに、沖縄県が我が国経済社会に寄与する地域として発展することは、政府の重要な課題となっている。このような沖縄の特殊事情にかんがみ、政府は、沖縄振興策について沖縄政策協議会(平成8年9月閣議決定により設置)等において政府の沖縄に関連する基本施策に関して検討を行い、沖縄振興計画の策定、情報通信産業等各種産業の振興のための特別措置等、沖縄の振興を図るための所要の措置を講ずることを目的として、平成14年4月に「沖縄振興特別措置法」が施行されたところである。この中で、情報通信の振興は、沖縄振興の重要な柱と位置付けられ、情報通信産業特別地区制度の創設及び情報通信産業振興計画の策定等が盛り込まれた(図表)。  総務省では、沖縄をアジア・太平洋地域における情報通信ハブとして形成するため、平成8年度より「沖縄マルチメディア特区構想」を提唱し、情報通信基盤の整備や、情報通信分野における人材の育成・研究開発の推進を促進するための各種施策を実施してきたところである。さらに、同構想の成果の上に立ち、沖縄における情報通信ハブ実現の加速化や国内外の情報通信関連企業等の誘致促進を目指す「沖縄国際情報特区構想」が、「沖縄経済振興21世紀プラン」最終報告(第15回沖縄政策協議会・平成12年8月開催)で提言された。そこで、総務省では次の5つの具体的な推進方策に基づき、各種施策を多面的かつ重層的に展開しているところである。 【具体的な推進方策】 ・アジア・太平洋地域の情報通信拠点形成に向けたグローバルなIXの形成 ・地域情報通信ネットワークの高度化 ・国内外の情報通信関連企業、研究機関等の誘致促進・集積・育成 ・国内外のコンテンツ、アプリケーションの集積 ・情報通信技術等に明るい人材の早期・大量育成  具体的には、平成13年度には、「沖縄国際情報特区構想」の推進に関する調査研究、宜野座サーバーファーム整備事業(経済産業省との共同事業)、嘉手納マルチメディアタウン事業、とぅもーるネット整備事業、北部広域ネットワークの構築に関する調査事業が行われた。これらの事業の実施等により、情報通信関連企業の沖縄への進出が促進され、平成13年度の1年間で、25社が沖縄に新たに進出し、約660人の雇用が新たに創出された。  平成14年度には、平成13年度からの継続事業に加え、沖縄県において、県内情報通信関連分野に従事するIT技術者を主対象として、高度なITを活用できる人材の育成を図るIT高度人材育成事業を新たに経済産業省と共同で実施する予定である。 図表 沖縄振興特別措置法の概要(情報通信関係)