4 電波利用環境の整備 (1)適切な電波監理 −IT社会における適切な電波環境の実現に向けて  総務省では、健全な電波利用環境を維持するため、電波利用料を用いて不要電波問題や不法・違法無線局問題の対策等電波の適正利用の推進に積極的に対応している。 (1)電波利用料制度  高度情報通信社会の進展に伴い、電波の利用もあらゆる分野に及ぶとともに、増大かつ多様化の一途をたどっており、円滑な電波利用を確保するためには、1)有限な資源である周波数のひっ迫への対応、2)電波利用の拡大に伴う行政事務量増大への対応、3)不法無線局急増への対応等の課題に対して、早急かつ的確な対処が必要となってきている。  このような状況を踏まえ、混信や妨害のない安定的な電波環境を維持するとともに、免許事務の機械化や能率的な電波利用の促進により無線局の急増に対処するなど、電波の適正な利用のより一層の確保を目的に、無線局全体のための共益的な行政事務の費用を当該事務の受益者である免許人全体で負担する電波利用料制度が、平成5年4月より導入された(図表1))。 (2)不要電波問題対策  電波利用の拡大、各種電子・電気機器の普及に伴い、機器・システムが他の機器・システムから電磁的な妨害を受けることが大きな問題となっている。総務省では、平成12年度から「電子機器から漏えいする電波の三次元可視化技術の研究開発」を行ってきた。現在、電子機器から漏えいする電波に対しては、その発生部位や発生状態が把握できないため、経験を基にした試行錯誤的な対策がとられている。このような問題を抜本的に解決するために、電子機器から漏えいしている電波の状況を三次元の画像として表示することによりその発生状況を把握できる技術(電波カメラ)の研究開発を実施している(図表2))。平成12年度には、高精度電波センサーの試作及びホログラムを得るための走査方法の開発に関する従来技術の調査検討等を実施、平成13年度から、高精度アレイ化センサーの開発、画像処理技術の開発等を実施している。 (3)不法・違法無線局対策  電波利用の拡大とともに、不適正な利用も増大して電波利用における障害が多発している。このため、不法無線局の探査等を効果的に行うための電波監視システム(DEURAS:Detect Unlicensed Radio Stations)の整備を平成5年度から進めて電波監視活動を強化するとともに、捜査機関との不法無線局の共同取締を実施している。また、不法・違法無線局の未然防止策として、周知啓発活動の強化や基準不適合設備の製造販売の防止等に取り組んでいる。  また、衛星通信については、近年、軌道及び周波数の使用状況が高密度化し、混信等の発生が現実化しているため、平成10年度から、宇宙電波監視施設を整備し、静止衛星のL、Ku、Ka帯ダウンリンクの監視を開始し、平成11年度に監視対象とする周波数をS、C帯にも拡張している。 図表1) 電波利用料の概要 図表2) 電子機器から漏えいする電波の三次元可視化技術の研究開発