第9節 郵便局ネットワークの活用 1 郵政事業の公社化と郵便事業への民間参入 −お客さまサービスの一層の向上のために (1)平成15年中に日本郵政公社が設立  今次の中央省庁等改革においては、国の行政の役割を「官から民へ」、「国から地方へ」という基本的な視点から見直すこととされ、このような行政機能の減量、効率化の一環として、郵政事業については、現在の国の直営事業を改め、「三事業一体として新たな公社(郵政公社)」により実施することとされた(平成9年12月の行政改革会議最終報告)。これを受け、平成10年には中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)が制定され、郵政公社の制度設計についての基本的な枠組が示され、同15年中に日本郵政公社を法律により設立するものとされた。また、従来国の独占事業とされてきた郵便事業についても、民間事業者の参入についてその具体的条件について検討に入ることとされた。  これらを踏まえ、国営の新たな公社の制度及び郵便事業の民間参入の在り方について、幅広く有識者と意見交換等を行うことを目的として、平成13年8月から総務大臣主催の「郵政事業の公社化に関する研究会」が開催され、同12月には中間報告が取りまとめられた。総務省では、この中間報告を踏まえ、関係法律の立案に着手し、第154回通常国会に、「日本郵政公社法案」、「日本郵政公社法施行法案」、「民間事業者による信書の送達に関する法律案」、「民間事業者による信書の送達に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を提出したところである。 (2)日本郵政公社法案の概要  日本郵政公社は、中央省庁等改革基本法第33条第1項の規定に基づき、郵政事業を一体的に経営する国営の新たな公社として設立されるものであり、独立採算制の下、信書及び小包の送達の役務、簡易で確実な貯蓄、送金及び債権債務の決済の手段並びに簡易に利用できる生命保険を提供する業務、当該業務を行うための施設その他の経営資源を活用して行う国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に資する業務等を総合的かつ効率的に行うことを目的としている。  主な特徴として、日本郵政公社の会計は企業会計原則によることとし、その経営に当たっては、中期経営目標及びこれを達成するための中期経営計画を定めることとしていること、また、中期経営目標、業務評価のほか、財務、業務及び組織の状況その他経営内容に関する情報については公表することとしていること、日本郵政公社の役員及び職員は国家公務員とすること等が挙げられる。 (3)民間事業者による信書の送達に関する法律案の概要  民間事業者による信書の送達の事業の許可制度を実施し、その業務の適正な運営を確保するための措置を講ずることにより、信書の送達の役務のあまねく公平な提供を確保しつつ、利用者の選択の拡大を図ることを目的としている。  信書便の役務を提供する事業として、1)一般信書便役務(注1)を含む信書便の役務を提供する一般信書便事業(全国全面参入型)と、2)特定信書便役務(注2)のみ提供する特定信書便事業(特定サービス型)の2つの事業類型を設け、いずれも総務大臣の許可制とする。  業務に関して、一般信書便事業者の提供する一般信書便役務に関する料金は事前届出制としているほか、一般信書便事業及び特定信書便事業共通に、信書便物の秘密の保護の観点から、検閲の禁止及び秘密の保護、信書便管理規程の策定の義務等を課している。 (注1)次のいずれにも該当する信書便の役務 1)長さ、幅及び厚さがそれぞれ40cm、30cm及び3cm以下であり、かつ、重量が250g以下の信書便物を送達するもの 2)国内において信書便物が差し出された日から原則3日以内に送達するもの (注2)次のいずれかに該当する信書便の役務のみ提供 1)3時間以内に信書便物を送達するもの 2)1,000円を下回らない範囲内で定める額を超える信書便物を送達するもの 3)長さ、幅、厚さの合計が90cmを超え、又は重量が4kgを超える信書便物を送達するもの