コラム2 オープンソースソフトウェア −各国の政府調達でも採用が進む  情報通信システムの導入に当たり、オープンソースソフトウェア(Open Source Software)の利用が進んでいる。オープンソースソフトウェアとは、ソフトウェアの設計図に該当するソースコードを、インターネット等を通じて無償で公開し、誰でも改良、再配布することができるようにしたソフトウェアをいう。商用のソフトウェアの場合、ソースコードがオープンにされることは少なく、他社に供与する場合はライセンス料を取ることが一般的である。これに対し、ソースコードを公開することで、誰もがソフトウェアの開発に参加可能にし、その結果、改良、開発が推進されるという考え方から作られたソフトウェアが、オープンソースソフトウェアである。  非営利の民間団体であるFSF(Free Software Foundation)は、オープンソースの考え方に基づき、GPL(General Public License)というライセンス体系を定めている。GPLにおいては、ソースコードの公開を原則とし、オープンソースソフトウェアを改変した者は、自ら改変したソフトウェアを他人が再配布や改変することを妨げてはならない。  代表的なオープンソースソフトウェアとしては、OS(Operating System: コンピュータシステム全体を管理する基本的なソフトウェア)であるLinux(リナックス)やウェブサーバであるApache(アパッチ)が挙げられる。Linuxは、当時フィンランドの大学院生であったリーナス・トーバルズ氏が開発したOSで、GPLに基づいて公開され、誰でも自由に改変・再配布することができる。現在では全世界の開発者によって改良が重ねられている。  オープンソースソフトウェアは、ソースコードが公開されているため、開発・利用段階において多くの技術者によるチェックが行われ、不具合の発生するおそれのある箇所がすばやく発見される可能性がある。また、ユーザ自身がリスクをある程度把握し、対応策を講じることが可能である。ただし、オープンソースソフトウェアがセキュリティ面で必ずしも優れているわけではなく、また、一般にセキュリティは保証されておらず、自己責任で利用しなければならない。  諸外国の政府調達においても、オープンソースソフトウェアの採用が進んでいる(図表)。その背景には、・機能性・信頼性の向上、・導入運用コストの削減、・特定のソフトウェアへの依存の回避等があると指摘されている。  総務省では、平成15年に学者や業界関係者らで構成する調査研究会を開催し、オープンソースOS及び非オープンソースOSについて、セキュリティ面や運用面等におけるメリット・デメリットを客観的・中立的に評価する予定である(3-7-2(1)参照)。 図表 オープンソースソフトウェア導入に関する諸外国の動向