第2節 企業の競争力の強化と産業の発展 第2節の要旨  いわゆるITバブルの崩壊により、世界的に情報通信産業は低迷を続けているが、我が国企業にとってITを活用することにより生産性向上、競争力強化を図る必要性は依然として高い。また、今後インターネットビジネスが成長していく可能性は大きいと考えられる。  第2節においては、マクロ経済の観点から情報通信産業の動向、情報化投資の推移を概観した上で、我が国企業がITを活用して競争力を強化するために必要な企業行動を日米比較等により明らかにする。また、インターネットビジネスの市場規模の将来推計を行う。 【マクロ経済と情報通信産業の動向】 ○ 日米欧の経済を牽引してきた情報通信産業は、いわゆるITバブル崩壊により2000年を境に世界的に低迷している。欧米では、情報通信関連の大手事業者の破綻や第3世代携帯電話のサービス開始の遅れなど、社会的に大きな影響を与えている。しかしながら、2002年以降、新しい情報通信機器・サービスへの需要、リストラ等により一部で持ち直しの動きがみられている。 【情報化投資と企業のIT活用の動向】 ○ 平成13年における我が国民間企業の情報化投資額は、約25兆円(対前年比10.9%増)となり、民間設備投資額の約3割を占める。また、情報通信資本ストックは、平成7年から13年(6年平均)の経済成長を1.73%引き上げたと推計され、我が国経済の成長を下支えしている。 ○ 我が国企業の情報システム導入率は、間接業務(経理・人事等)では米国企業を上回るものの、直接業務(生産・販売等)では米国企業よりも低い。また、情報化投資の投資対効果も、コスト削減や業務効率化効果では米国企業と同等の効果を発揮しているが、売上拡大や高付加価値化効果では米国企業を大きく下回っている。 ○ 我が国企業が情報化投資の効果を十分に発揮するには、業務効率化のためだけでなく、付加価値向上のための情報化投資を進めること、業務間及び企業間での情報システムの連携をとること、企業トップが中心となり、情報化投資に合わせて業務改革・組織改革等の取組を行うことが必要であると考えられる。 【インターネットを活用したビジネスの動向】 ○ 平成14年における我が国のインターネットビジネスの市場規模は約6.7兆円であり、平成19年(2007年)には約13.2兆円と約2倍に成長すると見込まれる。 ○ 我が国企業における電子商取引の利用率は、B2B(企業-企業間)で約27%、B2C(企業-個人間)で約13%である。また、電子商取引実施上の問題点として約4割の企業がセキュリティ対策を挙げている。