1 マクロ経済と情報通信産業の動向 (1)日米欧におけるマクロ経済状況 日米欧において持ち直しの動きがみられるが、先行きは不透明  米国経済は、1990年代後半に生産性が急上昇し、経済成長が継続するなど、いわゆる「ニューエコノミー」を謳歌したが、2000年中頃より減速を始め、実質GDPは2001年1−3月期から3期連続でマイナス成長を記録した(図表1))。しかしながら、2001年10−12月期以降、個人消費や設備投資が持ち直すなど、緩やかながら回復がみられる。  また、欧州経済は、実質GDP成長率の変動は少なく底堅い動きがみられるが、2001年7月以降、ドイツ・フランス・イギリス等のEU圏で失業率が徐々に上昇するなど、景気が減速している(図表2))。 図表1) 日米欧における実質GDP成長率の推移(前期比:季節調整済み) 図表2) 日米欧における失業率の推移  他方、我が国経済は、実質GDP成長率が、2001年(平成13年)4−6月期から同年10−12月期まで3期連続でマイナスを記録していたが、企業の設備投資が下げ止まるなど、2002年(平成14年)以降持ち直しの動きがみられる。他方、雇用情勢は依然として厳しく、完全失業率は、2001年(平成13年)7月に5%台となって以降、2002年(平成14年)10月には5.5%を記録するなど、高水準で推移している。先行きについては、米国経済の持ち直しによる輸出増等により、景気の回復が期待されるものの、世界経済の先行きや株価の低迷等の懸念も存在しており不透明である。