2 情報化投資と企業のIT活用の動向 (1)情報化投資の動向 平成13年の情報化投資は25兆円。民間投資額の3割を占める  我が国は、1990年代以降経済が低迷しており、企業は設備投資の抑制や構造改革等を進めている。他方、企業が生産性を向上させ国際競争力を強化するためには、生産活動の基盤となる資本の蓄積が不可欠である。特に、企業の効率的な生産活動、高付加価値サービスの提供を可能とする情報通信資本の蓄積が重要である。 1 情報化投資の動向  平成13年における民間企業の情報化投資額(注1)は、25.0兆円(対前年比10.9%増)となり、情報化投資額の水準は5年間で約1.7倍に増加した。また、民間設備投資額に占める情報化投資額の比率についても平成9年以降増加を続け、平成13年には29.4%(対前年比3.9ポイント増)と民間設備投資額全体の約3割を占めるに至った(図表1))。 2 情報通信資本ストックの動向  平成13年における民間企業の情報通信資本ストック(注2)は52.7兆円(対前年比14.9%増)となり、5年間で約1.8倍に増加している。平成13年における民間資本ストックに占める情報通信資本ストックの割合は、4.5%(対前年比0.5ポイント増)である(図表2))。 図表1) 我が国における情報化投資の推移 図表2) 我が国における情報通信資本ストックの推移 3 産業別の情報化投資の動向  平成7年及び12年における各産業における情報化投資(注3)は、平成7年及び12年ともに製造業が最も多く、平成12年では約4.6兆円となっている。また、平成7年から12年にかけての情報化投資額の年平均増加率は、卸売・小売業が最も高く20.9%の増加となっている。次いで、製造業が16.0%の増加となっている(図表3))。 図表3) 産業別の情報化投資額の推移 4 産業別の情報通信資本ストックの動向  平成12年の各産業における情報通信資本ストック(注4)は、製造業が約14.3兆円と最も多くなっている。他方、各産業における民間資本ストックに占める情報通信資本ストックの比率は、平成12年には金融・保険業が26.8%、次いで通信業が18.1%と多くなっており、この2業種が他産業を大きく引き離している(図表4))。この2業種が情報通信資本集約型の産業であることが分かる。 図表4) 産業別の情報通信資本ストック比(対産業別民間資本ストック)の推移 (注1)ここでは情報化投資を「情報通信ネットワークに接続可能な電子装置及びコンピュータ用のソフトウェア」と定義。「電子計算機」、「電子計算機付属装置」、「有線電気通信機器」、「無線電気通信機器」及び「ソフトウェア(コンピュータ用)」の合計。推計方法については資料1-2-1、詳細については資料1-2-2参照 (注2)ここでは情報通信資本ストックを、情報化投資を通じて生じた資本蓄積額と定義。情報化投資額を基に、時の経過に伴う価値減少分を考慮し、恒久棚卸法を用いて推計した。推計方法については資料1-2-5、詳細については資料1-2-6参照 (注3)産業別の情報化投資額の詳細は資料1-2-3参照 (注4)産業別の情報通信資本ストックとは、産業が使用する情報通信機器及びソフトウェアと定義し、使用者主義で推計を行った。産業別の情報資本ストックには、自らが取得した資本財とレンタル・リース等で借り受けて使用している資本財が含まれる。詳細については、資料1-2-7参照