(5)インターネットを利用した生涯学習におけるeラーニング インターネットを利用した生涯学習eラーニングの潜在利用者数は684万人  高齢化や社会の成熟化が進むとともに、情報化や国際化に対応して職場で要求される技能が急速に変化する中で、生涯を通じて行う主体的な学習活動である生涯学習へのニーズが高まっている。20〜79歳までを対象とした訪問調査によると、21.0%の人が「大学・大学院・専門学校に通いたい」と考えており、社会人の学習意欲は高い。しかし、実際に大学院に通学している社会人学生は、平成14年度において約33,000人(文部科学省調査)であり、平成13年度における労働力人口(20歳以上で6,621万人)に対し、約0.05%に過ぎず、調査結果と実態との間には大きなギャップがある。このギャップの原因の1つとして、仕事が忙しく時間が自由にならないことや、近くに適当な学習機関がないことが挙げられる。  情報通信を利用した遠隔学習(eラーニング)は、自宅にいながら国内・海外のあらゆる教育機関の教育内容をいつでも学習できる可能性を持ったシステムである(図表1))。従来型の通信教育の持つ利点に加えて、教師・学生間でやりとりができる双方向性や、必要な学習内容だけを受講できるといった利点も持つ。国内における先進的な取組として、信州大学では、平成14年度から情報工学科の大学院にeラーニングですべての単位を取得できるコースを開設している。平成14年度においては、国内、海外の様々な地域から集まった約80人の入学者が、eラーニングコースで受講している。同大学は、平成16年度から学部においても、通学が困難な社会人を対象とした3年次編入学コースを開設する予定である。  インターネット利用者に対し、インターネットを利用したeラーニングの利用意向を調査したところ、18.2%が利用意向を示した。これに基づき推計すると、インターネットを利用した日本人のeラーニングの潜在利用者は684万人である。インターネットを利用したeラーニングは、多様な学習機会を提供し、生涯学習人口の増加に寄与すると期待される(図表2))。 図表1) インターネットを利用したeラーニングのシステム例 図表2) インターネットを利用したeラーニングの世代別利用意向 (注)推計方法については、資料1-3-4参照