(3)電気通信事業分野の個人情報の保護 電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会を開催  電気通信事業分野においては、その業務上、通信の秘密その他のプライバシーに関連する大量の情報を取り扱うものであり、従来からその厳正な扱いが求められてきたが、電子化された情報がネットワークを介して迅速に流通する高度情報通信ネットワーク社会においては、個人情報保護の必要性が一層高まってきている。近年、電気通信事業分野において個人の情報が漏えいする事例も発生しており、電気通信事業分野の個人情報保護の強化が強く求められている(図表1))(1-5-2参照)。  このような状況を考慮して、郵政省(現総務省)では、個人情報の適切な取り扱いについての具体的な指針を示した「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(平成10年12月郵政省告示第570号)を策定し、電気通信事業者等の自主的な取組を促進してきた(図表2))。 図表1) 電気通信事業分野における最近の主な個人情報漏えい事例 図表2) 電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン(平成10年12月郵政省告示第570号)  また、個人情報保護法制については、政府はすべての分野を包括的に対象とする「個人情報の保護に関する法律案」を第156回通常国会に提出し、同法案は平成15年5月に成立した。総務省においては、公布の日から2年以内に、電気通信事業分野での個人情報の適正な取扱が担保されるよう必要な措置を講じ、法の適切かつ有効な施行を図るための検討を行っていくこととしている。  諸外国においても、例えばEUでは、「EU個人データ保護指令」を具体 化し補完するものとして、2002年7月、電気通信分野に関する個人データ保護指令を改定し、望まない電子メールの規制や位置情報の保護を盛り込むなど、電気通信事業分野における個人情報保護についての議論に新たな動きがみられるところである。  こうした状況を踏まえ、総務省では、平成15年2月から、電気通信分野におけるプライバシー情報の取扱について、「電気通信事業分野におけるプライバシー情報に関する懇談会」を開催しており、平成16年春までに報告書が取りまとめられる予定となっている。