(5)高齢者・視聴覚障害者向け放送番組の充実 字幕放送等の拡充  高齢者・視聴覚障害者向け放送の充実は、放送を通じた情報へのアクセス機会の均等化を実現する上で重要な課題である。総務省では、平成9年度に放送法等を改正し、字幕放送等の努力義務化を図るとともに、平成19年(2007年)までに字幕付与可能なすべての放送番組に字幕を付与することを目標とした「字幕放送の普及目標」を策定・公表し、字幕拡充の取組を推進している。 1 字幕番組・解説番組等の制作促進  「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律」(身障者法)に基づき、平成5年度から、通信・放送機構が字幕番組等を制作する者に対し、所要経費の2分の1を上限に助成している。平成14年度は、約6億円を助成している。 2 視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発  通信・放送機構では、視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発を実施している。平成15年度を目途に、ほぼすべての録画番組を対象として、音声がすべて文字化された原稿がない場合でも、短時間で自動的に字幕を付与できるシステム実現のための技術確立を目指した研究開発を行っている。 3 字幕放送の拡充  平成9年に「字幕放送の普及目標」を策定、公表し、字幕拡充の取組 を推進しているが、更なる拡充が望まれたことから、総務省では、平成13年7月に、放送事業者(NHK及び民放キー局)に対し「字幕放送の普及目標」の達成に向けた字幕放送の計画的な拡充を要請した。  これを受けて、放送事業者(NHK及び民放キー局)は、自ら作成した計画に基づき字幕放送の拡充を推進しており、字幕付与可能な総放送時間に占める字幕放送時間の割合が、平成13年度においてNHKは対前年度比5.8ポイント増の73.4%、民放キー局は、対前年度比7.5ポイント増の16.1%と着実に増加している(図表)。総務省としては、引き続き字幕放送の実績の把握、公表等により計画の進行管理を行っていく予定である。 図表 字幕放送時間及び字幕付与可能な総放送時間に占めるその割合の推移