(3)ギガビットネットワーク技術の研究開発 次世代超高速ネットワークの早期実現に向けた研究開発の実施  21世紀初頭における超高速ネットワークの実現に向け、通信・放送機構は、全国規模のオープンテストベッドとして、全国10か所に設置したATM交換機を結んだ超高速光ファイバ回線網及び共同利用型研究開発施設からなる研究開発用ギガビットネットワーク(JGN:Japan Gigabit Network)の整備を行い、次世代インターネット技術をはじめとする超高速ネットワーク技術や高度アプリケーション等の研究開発を促進している(図表1))。  これらの施設は、超高速ネットワーク技術や高度アプリケーション技術等の研究開発用として、平成11年度から15年度末までの間、広く大学、研究機関、行政機関、地方公共団体、企業等に開放されている。なお、平成14年度末までに、ギガビットネットワーク通信回線は延べ620研究機関(216プロジェクト)が利用しており、全国5か所の共同利用型研究開発施設(ギガビットラボ)は、延べ71機関(67プロジェクト)が利用してきている(図表2))。  平成14年度においては、以下の施策を実施した。 図表1) 研究開発用ギガビットネットワーク 図表2) JGNを利用した研究開発プロジェクト数の推移 1 研究開発用ギガビットネットワークの拡充・強化(長距離・大容量テストベット)  長距離伝送時における高精細動画像の画質評価や長距離・大容量伝送に対応した次世代インターネットプロトコルの開発等の研究開発を促進するため、JGN上に最長350,000km(単一のテストベッドとしては世界最大級)の「JGN長距離・大容量テストベッド」を構築し、実環境で長距離・大容量の通信実験を行うことを可能にした。平成15年4月までは通信・放送機構の直轄研究による試行期間であり、平成15年5月からオープンテストベッドとして関係研究機関に広く開放されている。 2 ギガビットネットワーク利活用研究開発制度  通信・放送機構では、ベンチャー企業をはじめとする民間企業や大学等に対して、JGNを利用した高度アプリケーションの実現に必要な技術に関する研究課題を幅広く公募し、優れた研究開発課題について委託研究を行っている。 3 ギガビットネットワーク技術の研究開発の実施  平成11年度から、通信・放送機構の直轄研究として、JGNを利用した「ギガビットネットワーク技術の研究開発」を幕張・高知のリサーチセンター等において実施している。本研究開発においては、次世代ネットワークの実現に向け、低速(電話程度)から超高速(ギガビット級)までの様々な速度のデータの効率的な伝送を行うため、超高速ネットワークの運用・制御・管理技術等について集中的に研究開発を実施している。  また、平成13年度からのJGNのIPv6への対応に伴い、世界最大規模の超高速IPv6テストベッドを用いた研究開発を実施する体制を整備し、IPv6ネットワーク運用・管理技術及びIPv6機器の相互接続性の検証・評価等のIPv6関連技術の研究開発を実施している。  さらに、平成14年度からは、多様な通信制御や通信品質への要求に対応することができる新しいネットワークアーキテクチャの概念である「アクティブネットワーク」に関する技術の研究を推進するため、JGN上で超高速広域アクティブネットワークを構築し、北九州ギガビットリサーチセンター、大阪大学分室及び独立行政法人通信総合研究所(CRL)分室において、サービス運用管理技術、計測技術、時刻同期技術等の研究を開始している。