(5)量子工学、ナノ技術等を用いた情報通信技術の研究開発 情報通信技術におけるブレークスルーに向けた研究開発の推進  電子や光の粒子としての性質を利用して情報処理・伝送を行う量子情報通信技術や、ナノサイズ特有の物質特性等を利用して従来にはなかった新しい機能を発現させるナノ技術、生体の機能に学びその優れた機能や構築メカニズムを応用するバイオ技術の情報通信への応用技術は、極めて高い安全性を保証する暗号通信、光通信を超える超高速通信、生物の自己組織化や修復といった優れた機能を生かしたネットワーク等を実現する可能性を秘めた革命的な技術として注目されている。  第二期科学技術基本計画(平成13年3月閣議決定)おいて、特に重点を置くべき分野として、情報通信、ナノテクノロジー等の4つの研究分野が掲げられ、また、e-Japan重点計画-2002等においても、量子、ナノ技術の研究開発の重点化が指摘されている。 1 量子情報通信技術  量子情報通信技術は、平成12年2月の電気通信技術審議会(現情報通信審議会)答申「情報通信研究開発基本計画」において新たに追加された重点研究プロジェクトの一つであり、国として研究開発を推進していく課題である旨提言された。これを受け、総務省では、平成13年度から通信・放送機構において産学官の連携により、比較的近い将来の実用化が期待されている量子暗号技術についての研究開発を実施している(図表)。  また、平成13年5月から、量子情報通信研究推進会議を開催し、研究開発の現状、方向性、全体戦略等について総合的に検討を行っている。 図表 量子情報通信ネットワーク 2 ナノ・バイオ技術  総務省では、既存の技術の延長線上の研究にとどまらない技術の壁の突破(ブレークスルー)を目指した基礎・学際領域の研究推進プロジェクトとして「情報通信ブレークスルー基礎研究21」を平成10年度から実施している。この中で、21世紀の情報通信技術に求められる「利用環境」「システム」「デバイス」の3つの側面に照準をあてた重点研究領域を定めプロジェクトを推進している。  また、情報通信の更なる高度化、情報産業関連の活性化、我が国の知的資産の蓄積等の観点から、情報通信に関するブレークスルーを目指した研究開発を更に充実・強化するため、ナノ技術やバイオ技術の情報通信への応用に関する側面も含め、研究開発を推進することとしている。