(2)二国間・多国間での取組 積極的な対話による国際協調と国際理解の推進 1 二国間での主な取組 (1)「成長のための日米経済パートナーシップ」  2001年6月、米国キャンプデービッドにおいて開催された日米首脳会談において、日米間の対話を通じて持続可能な成長のために協調することを目的とした「成長のための日米経済パートナーシップ」の立ち上げが発表され、次官級経済対話、官民会議、規制改革及び競争政策イニシアティブ等が設置された。  総務省は、規制改革及び競争政策、投資等を扱うこの枠組みに対し、2002年5月に開催された次官級経済対話に参加するなどの取組を行っている。また、規制改革及び競争政策イニシアティブについては、2002年6月、カナナスキス・サミットに先立って行われた日米首脳会談の際に、本イニシアティブの下での進展状況をまとめた第一回報告がなされた。 (2)「日EU行動計画」  2001年12月、ベルギーのブラッセルにおいて開催された日EU定期首脳協議において、「日EU行動計画」が採択された。これは、日EUの今後10年間(2001〜2010年)の協力の分野及びその内容をまとめたものである。特に、ICT分野に関しては、「グローバルな情報社会」の創設、発展に向け、日・EUが「次世代移動体通信システム(4G)」、「競争促進のための規制改革及びその実施のための協力」、「電子署名・認証」、「IPv6の導入促進」等の分野で協力を行うこととしている。なお、2002年7月の日EU定期首脳協議において、上記の行動計画を着実に実施・発展させるため、「新たな運営グループ」が設置された。第1回会合は同年9月にデンマークで、また、第2回会合は2003年3月に東京で開催され、行動計画の進捗状況及び今後協力を進めるべき重点分野等について協議を行った。 2 多国間での主な取組 (1)WTOにおける新ラウンドのスタート  2001年11月にカタールのドーハで採択された閣僚宣言により新ラウンド交渉(交渉期間は2005年1月まで)が開始された。我が国は、2002年6月末に全加盟国に対してサービス分野に関する自由化要望を提出した。また、我が国に対して各国から寄せられた自由化要望に対し、2003年3月末に自由化案を提案した。このように、我が国はサービス分野の更なる自由化を目指し、積極的な取組を行っている。2003年9月にメキシコのカンクーンにおいて開催される第5回閣僚会議においては、新ラウンド交渉全体の進捗状況についての評価が行われる予定である。  情報通信分野においては、我が国は、通信事業者に対して一律に課せられる外資規制の撤廃、競争促進的な規制の枠組みを定めた「参照文書」の採択等を各国に対して求めている。また、電子商取引に関する環境整備、政府調達協定の見直しをめぐる議論等にも積極的に参画している。 (2)APEC  APECでは、電気通信・情報産業大臣会合の第5回会合が2002年5月上海にて開催され、「情報通信インフラのセキュリティ声明」等を含む「上海宣言」を採択した。本宣言に基づき、電気通信・情報通信ワーキンググループ(TEL)において、情報通信関連のビジネスの円滑化、技術協力、自由化、セキュリティ等に関する各種検討を行っている。我が国は、TELの下の各分科会議長/副議長等を総務省より継続的に輩出しているなど、これらの会合に主体的に対応しており、APECの情報通信関連の取組に積極的に参画している。 (3)OECD 1)OECDでは、情報コンピュータ通信政策委員会(ICCP)において、作業部会を設け、情報通信分野の検討を行っている(図表1))。 2)OECDの経済開発検討委員会(EDRC)は、OECD加盟各国等の経済情勢、経済政策全般及び構造調整問題について定期的に国別審査を行い、審査対象国に政策勧告を行っている。  2002年の対日審査報告書では、日本の電気通信分野については、「最も規制の枠組みが進んでおり、いくつかの(事業)区分においては、大幅に競争が進展し、かつてOECD域内で最も高いレベルにあった価格も低下した」と記載されており、我が国で進められてきた電気通信市場への規制政策が肯定的に評価された(図表2))。 図表1) 情報コンピュータ通信政策委員会(ICCP)の各作業部会概要 図表2) OECD2002年対日審査報告書(抜粋) (4)G8サミット  G8サミット(主要国首脳会議)では、1994年のナポリ・サミット以来、情報通信関連のテーマが毎年取り上げられている。特に、2000年7月に開催された九州・沖縄サミット首脳会合においては、「グローバルな情報社会に関する沖縄憲章」(IT憲章)が採択された。また、同憲章を受けて、国際的デジタル・ディバイド解消に向けた関係者間の協力強化のために、G8(政府・ビジネス・NPO)、EU、開発途上国、ITU、世界銀行、UNDP等の国際機関、WEF、GBDe等ビジネス団体等の参加により構成される「デジタル・オポチュニティ作業部会(ドット・フォース:Digital Opportunity Task Force)」が設立された。  ドット・フォースは、2001年5月、G8シェルパ(首脳個人代表)に対し、国際的な情報格差(デジタル・ディバイド)解消に向けた行動計画(ジェノバ行動計画)等を提出した。また、2002年6月に開催したカナナスキス・サミットでは、ジェノバ行動計画の実施状況をレビューし、G8首脳はそのイニシアティブを歓迎した。さらに、同サミットにおいて、アフリカにおけるデジタル・オポチュニティの創出を支援する方法等を取りまとめた「G8アフリカ行動計画」が採択された(図表3))。 図表3) アフリカ行動計画概要