第3節 企業におけるネットワークの活用 第3節の要旨  インターネットをはじめとする情報通信ネットワークは、我が国においても様々な形で企業によって活用されているが、ここ数年の急速なブロードバンド・モバイルネットワークの進展は、更なる業務・サービスの高度化を可能とし、大きな利便性を与えている。また、電子タグ、非接触型ICカード、新たに通信機能を備えた各種機器・端末といった新しいツールについても、実証実験や実用化への取組が活発に行われており、新たなネットワーク活用の萌芽例が各分野で生まれつつある。  第3節においては、企業におけるブロードバンドやモバイルネットワーク、各種ユビキタスツールの活用の現状を概観した上で、高度情報通信ネットワーク環境が企業に与える利便性・効果、企業のネットワーク活用の潮流について述べる。また、高度情報通信ネットワーク環境を活用した市場の動向を明らかにするとともに、将来ユビキタスネットワークが日本経済に与える影響を分析する。 【企業のネットワーク活用の現状】 ○ ブロードバンド、モバイルネットワークの活用は着実に進んでおり、70%以上の企業が、活用するメリットを感じている。また、消費者向け電子商取引を行っている企業のうち46.0%が携帯端末対応を、27.9%がブロードバンド対応をするなど、消費者向け事業においても活発な活用が行われている。 ○ 電子商取引の対象としている端末は、現在はパソコン中心だが、今後はインターネット対応携帯電話やネットワーク対応テレビ等を積極的に活用する意向が見られる。 ○ 電子タグ、非接触型ICカード等、ユビキタスツールを導入している企業はまだ少ないが、幅広い企業が活用に関心を有している。 【企業のネットワーク活用の今後の展望】 ○ 様々な分野の企業において、高度情報通信ネットワークの業務への活用が進んでおり、電子タグ、非接触型ICカード等の活用についても実証実験が進んでいる。また、海外においても同様の動きが進んでいる。 ○ 米国の企業も、日本の企業と同様にユビキタスネットワークに期待している。日本企業が「場所を問わずネットワークが利用可能」、「電子タグ等で履歴情報を追跡・管理可能」という特長を強く認識している一方、米国企業は「ネットワークの安定性が向上」という特長への期待が強い。 【ユビキタスネットワークが日本経済に与える影響】 ○ 電子商取引やインターネットによる株式取引等、インターネットを活用した各種市場も順調に取引額を伸ばしている。また、薄型テレビ、DVDビデオレコーダー、カメラ付き携帯電話といった高性能な情報通信関連機器の売上げが好調である。 ○ ユビキタスネットワーク関連市場は、平成19年(2007年)には59.3兆円、平成22年(2010年)には87.6兆円に達すると推計され、日本経済に大きな影響を及ぼすと考えられる。