(4)個人や企業の責任ある行動 責任ある社会行動が求められる 1 情報通信ネットワークを利用する上でのマナー  ユビキタスネットワーク社会に向け、ネットワーク利用においては、利用者のマナーも重要となってくる。利用者が情報通信ネットワークやサービスの使い方、マナーとして控えるべきだと考えているのは、「迷惑メール」が80.5%で最も多く、続いて「公衆の場における携帯電話での通話」が72.0%、「カメラ付き携帯電話による人物の無断撮影」が65.0%、「公衆の場における携帯電話の着信音」が52.5%となっており、利用者に広く普及した携帯電話のマナーに関連する指摘が多くなっている(図表[1])。 図表[1] 情報通信ネットワークやサービスの使い方、マナーとして控えるべきだと思うもの(複数回答) (1)カメラ付き携帯電話  カメラ付き携帯電話の契約数は、平成15年度末には4,786万件に達し、国民に広く普及しつつある(1-1-1(2)参照)。他方、カメラ付き携帯電話の普及に伴い、「カメラ付き携帯電話による人物の無断撮影」や「カメラ付き携帯電話による書籍や雑誌等の無断撮影」等新たな社会問題が発生している。  特に、カメラ付き携帯電話を使って、書籍・雑誌を購入せずに書店やコンビニエンスストアの店頭で雑誌記事等を撮影し情報を入手するいわゆる「デジタル万引き」が発生しており、書店やコンビニエンスストアの売上に影響を与えている。平成15年7月から(社)日本雑誌協会と(社)電気通信事業者協会がカメラ付き携帯電話を使って雑誌記事等を撮影しないよう呼びかけるキャンペーンを実施するなど、利用者のマナーに訴える各種取組が行われている。 (2)公共の場における情報通信ネットワークの利用マナー  携帯電話やインターネット等の情報通信ネットワークは、その技術やサービスの進歩に比べ、利用者が利用する上でのマナーが定まっておらず、現在、情報通信ネットワーク利用におけるルール作りが進んでいる。  平成15年9月に首都圏の鉄道事業者17社は、これまで各社ごとに定めていた列車内での携帯電話利用マナーを統一し、「優先席付近では、携帯電話の電源をお切りください。それ以外では、マナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください。」としている。また、平成16年2月には関西圏の鉄道事業者20社が同様に列車内での携帯電話利用マナーを統一した。 2 ユビキタスネットワーク社会において求められること  利用者が情報通信ネットワークやサービスの使い方の更なる向上のために最も重要と考える項目として、89.3%の人が「個人の自覚・責任」を挙げ、他の項目を大きく引き離している。続いて重要と考える項目としては、「公的機関による法制度・規制の整備」(37.8%)、「機器・サービスを提供する企業の自主規制」(27.5%)が挙げられている(図表[2])。 図表[2] 情報通信ネットワークやサービスの使い方の向上のために重要と考える項目(複数回答)  利用者は、情報通信ネットワークやサービスの恩恵を受けるためには、規制や監視による対処だけではなく、利用者一人ひとりの自覚・責任が大切であると考えている。また、情報通信ネットワークを安心・安全に利用するために、公的機関や第三者機関等による法制度の整備やルールの制定、監視等を求めている。さらに、サービスを提供する企業に対しても自主的な責任ある行動を求めている。今後、ユビキタスネットワーク社会が実現に向かい、利便性や楽しさが高まり、様々な情報通信ネットワークやサービスの選択機会が増大する中においても、現在の社会と同様に、社会的なルールや情報通信ネットワーク社会のルールを遵守するとともに、個人や企業が自覚と責任を持ち行動していくことが求められている。