第3章 情報通信政策の動向 第1節 高度情報通信ネットワーク社会の実現 1 日本発の新IT社会の構築 第2フェーズのIT戦略への政策転換  我が国では、インターネット加入可能世帯数が「e-Japan戦略」の目標を達成したほか、高速インターネット料金が世界で最も低廉な水準となるなど、インフラ整備に関しては着実な成果が得られている。このようにITインフラが充実した結果、従来は困難であったサービスを実現できる基盤が整いつつあり、我が国は、現在、継続的なインフラの高度化の中で、本格的な利用拡大を目指す段階に入りつつあるとともに、欧米に追いつく段階から世界を先導する段階に入りつつあると言える。  このような状況を踏まえ、総務省の諮問機関である情報通信審議会は、IT戦略の今後の方向性について議論を行い、平成15年7月に情報通信政策部会インターネット利用高度化委員会第3次中間答申を公表した。同答申では、携帯端末・情報家電・デジタルテレビ端末・光技術等の我が国の特徴・強みを生かした、欧米追従ではない「日本発の新IT社会」を産学官が連携して創出し、世界にモデルとして発信していくことが提言されている。  同答申では、「日本発の新IT社会」が、[1]ユビキタスネットワーク社会、[2]高品質映像時代、[3]インターネットとデジタルテレビの連携という、3つの利用軸を中心に形成されていくものと考えられることが示された。また、「日本発の新IT社会」を実現するための方策として、利用者に役立つネットワーク環境の実現、利用者の豊かな暮らしにつながるコンテンツ流通等に関しても提言がなされた(図表)。 図表 日本発の新IT社会の構築を目指して