5 コンテンツ利用の拡大 (1)コンテンツ市場全体の動向 コンテンツ市場全体が頭打ちの中、マルチユース市場、通信系ソフト市場が拡大  コンテンツ(注1)市場全体は、平成12年から平成15年の間、約11兆円で頭打ちとなっている。形態別に見ると、音声系ソフト(音楽、ラジオ番組等)、テキスト系ソフト(新聞記事、書籍等)が縮小傾向にある一方、映像系ソフト(映画、テレビ番組等)は拡大している。また、いずれのソフトも一つのメディアで利用された後も他のメディアで二次的に利用されることから、その市場を比較してみると、ソフトの制作に際して最初に流通させることを想定したメディア上での流通(一次流通市場)が縮小する一方、別のメディアを通じて二次的に流通する市場(マルチユース市場)(注2)は拡大している(図表[1]、[2])。 図表[1] ソフト形態別市場全体の推移 図表[2] 一次流通とマルチユース市場全体の推移  また、近年、インターネット、携帯電話等を通じて流通する音楽、ゲーム、新聞記事等の市場(通信系ソフト市場)が拡大してきており、平成15年には約5千億円と3年前と比較して、約2千億円増加している(図表[3]、[4])。こうした通信系ソフト市場の拡大は、JASRAC((社)日本音楽著作権協会:Japanese Society for Rights of Authors, Composers and Publishers)使用料徴収額のうちインターネット等によるインタラクティブ配信に係る使用料徴収額が大幅に増加していることからもうかがえる(図表[5])。 図表[3] コンテンツ市場に占める通信系ソフト市場の割合 図表[4] 通信系ソフトの市場の拡大 図表[5] インタラクティブ配信に係るJASRAC使用料徴収額 (注1)ここでは、コンテンツとして、各種メディアを通じて広く人々に利用されることを目的として制作・流通する情報ソフト(メディア・ソフト)を考えており、具体的には、映画、ビデオ、テレビ番組、ゲーム、音楽、ラジオ番組、新聞記事、書籍、雑誌等をいう。最近では、インターネットや携帯電話でオリジナルソフト(番組やメールマガジン等)も流通している (注2)例えば、映画館での上映は映画の「一次流通」であり、パッケージビデオやDVDでの販売やレンタル、さらには、衛星放送やCATV、地上放送での放送は映画の「マルチユース」である