3 ネットワークのIP化の進展 ネットワークのIP化が着実に進展 1 世帯におけるIP電話の普及  世帯におけるIP電話の利用率は、平成15年の7.3%から平成16年は12.7%と5.4ポイント増加した。また、導入を予定している世帯は69.1%にも上っており、今後、更に普及するものと考えられる(図表[1])。IP電話利用による通話料金の削減効果については、削減効果があったとする人が46.0%、変わらないとする人が16.6%となっている(図表[2])。 図表[1] 世帯のIP電話利用率 図表[2] IP電話利用による通話料金削減効果 2 企業ネットワークのIP化の進展  企業におけるIP電話の利用率は、同一事業所内では15.4%、事業所間では20.2%、外線では15.0%となっている。また、導入を予定している企業は、同一事業所内では26.0%、事業所間では29.9%、外線では32.6%となっており、今後、更にIP電話の利用が進むものと考えられる(図表[3])。IP電話の導入理由は「通話料の削減」が87.6%と最も多く、次いで「PBX(注1)の保守・運用コストの削減」(18.3%)、「電話移設コストの削減」(13.6%)となっている(図表[4])。 図表[3] 企業のIP電話利用率 図表[4] IP電話導入理由  企業通信網の幹線系に利用されている通信サービスは、「IP-VPN」が24.7%と最も多く、次いで「インターネットVPN」(18.3%)、「専用線」(15.1%)の順となっている。これを平成15年と比較すると、「IP-VPN」「インターネットVPN」の利用割合が高まる一方、「専用線」等の利用割合が減少しており、幹線系ネットワークのIP化が進んでいることがうかがえる(図表[5])。 図表[5] 企業通信網で幹線系に利用されるサービス 3 企業のIPv6への対応状況  我が国の企業のIPv6(注2)への対応状況は、何らかの対応をしている企業が39.8%、特に対応をしていない企業が37.8%となっている。また、米国では対応企業が41.6%、未対応企業が19.2%、韓国では対応企業が43.8%、未対応企業が34.7%となっており、日米韓の対応状況に大きな差異は見られない(図表[6])。 図表[6] 企業のIPv6対応状況  IPv6に期待する点としては、「セキュリティが強化できる」が39.9%と最も高く、次いで「IP電話システムの導入が容易になる」(23.6%)、「センサー等様々なデバイスにIPアドレスを付与することができる」(20.7%)となっている(図表[7])。 図表[7] IPv6に期待する点(複数回答)  IPv6が広く普及する時期の見通しについては、「わからない」との回答を除くと、日米韓とも3年以内と見る企業は6割程度、5年以内と見る企業は9割程度となる(図表[8])。 図表[8] IPv6が普及する時期 4 国内・海外の通信事業者のIP化への対応動向  電気通信事業者は、コスト削減、顧客サービスの充実等を目的として、固定電話のIP化に力を入れている。国内では、2004(平成16)年9月にKDDIが2007(平成19)年度末までのIP化の完了(中継交換機の撤廃)を、2004年11月にNTTが2010(平成22)年までの3,000万ユーザーに対する次世代ネットワーク(新IP網)の提供を発表している。海外では、2004年6月にBT(ブリティッシュテレコム:British Telecom)が2009(平成21)年までのほぼすべてのユーザーに対するIP網への移行を発表した。こうした中、IPネットワークの相互接続・運用性の確保が一層重要になってきている。 (注1)Private Branch eXchange:構内交換機 (注2)IPv6とは、Internet Protocol version 6の略。現在広く使用されているインターネットプロトコル(IPv4)の次期規格であり、IPv4に比べて、アドレス数の大幅な増加、セキュリティの強化及び各種設定の簡素化が実現できる