(4)個人情報保護 進む個人情報保護対策 1 個人情報に対する意識  近年、個人情報の流出事故が多発しており、新聞5紙に掲載された個人情報保護に関する事故の記事件数は平成16年1年間では510件に達し、平成13年の約4倍となっている(図表[1])。 図表[1] 個人情報の流出事故件数の推移(新聞5紙の報道件数※)  こうした中で、国民の個人情報保護への関心も高まっており、個人情報保護の問題に関心がある人は97.4%に達している(図表[2])。また、他人に知られたくない情報としては「クレジットカード番号等の信用情報」が92.6%と最も高く、次いで、「年間収入・財産状態・納税額等の情報」が86.3%、「電話番号」が54.6%、「現住所」が40.2%と続いている(図表[3])。 図表[2] 個人情報保護の問題についての関心の有無 図表[3] 他人に知られたくない個人情報(複数回答) 2 国民の個人情報保護のための取組  インターネット利用者のうち個人情報保護のため何らかの取組を行っている人は51.5%となっている。具体的には、「ウェブ上に個人情報を記載しない」が33.9%と最も高く、次いで「軽率にダウンロードしない」(25.1%)、「クレジットカード番号入力を控える」(23.7%)となっている(図表[4])。 図表[4] インターネット利用者の個人情報保護対策(複数回答)  また、昨今、利用者が気付かないうちにパソコン内の情報等を収集し、外部に送信するスパイウェアが増加していると言われているが、スパイウェアへの対応状況について日米韓のインターネット利用者に聞いたところ、日本は「ソフトウェアやツールを使ってスパイウェアをチェックしている」は26.9%と米国の67.0%の半分以下であり、「スパイウェアがどのようなものか知らない」も48.0%と高くなっている(図表[5])。 図表[5] スパイウェア対策の日米韓比較※ 3 個人情報を守るための企業の取組  平成17年4月1日から個人情報保護法が全面施行され、個人情報取扱事業者は、個人情報の取扱いについて、利用目的による制限、適正な取得、安全管理措置等の義務を負うこととなった。  こうした中で、個人情報を守るための企業(注)の取組も進展している。企業の個人情報の管理方法について、平成15年度と平成16年度を比較すると、すべての項目で取組が進んでおり、特に「管理規約を定め、関係者に通知」(49.7%)、「顧客の個人情報の使用や閲覧を制限」(40.5%)が大幅に増加している(図表[6])。また、企業の個人情報保護に対するシステム面・技術面、組織面・制度面での対策についてもすべての項目で取組が進んでおり、特にシステム面・技術面の対策では「パソコン等の廃棄時にはハードディスクを物理的に破壊」(36.5%)が、組織面・制度面の対策では「個人情報の利用目的・収集時期・管理者の明確化」(58.9%)、「個人情報保護管理責任者の設置」(48.1%)が大幅に増加している(図表[7]、[8])。さらに、内部者による情報漏えいの防止対策についても全般的に取組が進んでおり、具体的な対策としては、「サーバールームへの立ち入り制限」(74.7%)、「ノートパソコンやOA機器の持ち出し制限」(49.7%)が多くなっている(図表[9])。 図表[6] 企業における個人情報の管理方法(複数回答) 図表[7] 個人情報保護に対するシステム面・技術面での対策(複数回答) 図表[8] 個人情報保護に対する組織面・制度面の対策(複数回答) 図表[9] 内部者による情報漏えい防止対策(複数回答) (注)ここでの調査対象企業は、東京証券取引所一部・二部上場企業