第2節 情報通信政策の展開 1 電気通信政策の展開 (1) 電気通信政策の展開 電気通信事業分野における競争政策の展開 1 平成17年度以降の接続料算定の在り方について  電気通信事業者間における接続料の算定には、従来、実際費用方式が用いられてきたが、情報の非対称性、既存事業者の非効率性排除等の点で一定の限界があるため、平成12年に電気通信事業法が改正され、公衆電話網の接続料原価の算定に長期増分費用方式(注)が導入された。  しかしながら、携帯電話の普及やIP電話の急速な台頭により、固定電話の通信量が大幅かつ継続的に減少するなど、固定電話を取り巻く環境は大きく変化している。こうした状況を踏まえ、総務省では、平成16年4月、平成17年度以降の接続料算定の在り方について情報通信審議会に諮問した。情報通信審議会は、同年10月、接続料の算定方法、NTS(Non Traffic Sensitive)コスト(通信量の大小に関わらず発生するコスト)の扱い等について答申した(図表[1]、[2])。 図表[1] 情報通信審議会答申の主な内容(接続料関係) 図表[2] 平成17年度接続料、平成16年度仮精算値について  総務省では、同答申を踏まえ、接続料規則の改正を行い、新たな接続料が平成17年4月より適用されている。 2 基本料・施設設置負担金の在り方の検討  平成16年4月の情報通信審議会への諮問では、NTSコストの扱いを検討するため、併せて基本料・施設設置負担金の在り方についても検討が行われた。情報通信審議会は同年10月、基本料・施設設置負担金の在り方等について答申した(図表[3])。東・西NTTにおいては同答申を踏まえ、平成17年1月に基本料等の改定を、同年3月には施設設置負担金の改定を実施した。 図表[3] 情報通信審議会答申の主な内容(基本料・施設設置負担金関係) 3 ユニバーサルサービス基金制度の在り方の検討  ユニバーサルサービス基金制度とは、国民生活に必要不可欠な電気通信サービスのあまねく日本全国における提供を確保するため、平成14年6月に導入された制度である。当初より、導入時から2年を目途として制度の見直しを行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとされていた。また、制度の導入からこれまでの間、固定電話を上回る携帯電話の普及の進展やIP電話の急速な普及が見受けられ、今後は直収電話の本格的な展開が見込まれること、東・西NTTの基本料及び施設設置負担金の値下げ等により電気通信分野における更なる競争の進展が見込まれている。これらを踏まえ、総務省では、平成16年11月、情報通信審議会にユニバーサルサービスの範囲、ユニバーサルサービスの維持に係る費用の算定方法及び同費用の負担方法等、ユニバーサルサービス基金制度の在り方について諮問した。 4 電気通信事業分野における競争評価の実施  総務省では、IP化・ブロードバンド化等を背景として複雑化する電気通信事業分野の競争状況を正確に把握し、政策に反映していくため、平成15年度より「電気通信事業分野における競争状況の評価」の取組を開始している。平成16年度の競争評価は、平成15年度の対象である「インターネット接続」領域及び「企業内ネットワーク」領域に加え、「移動体通信」領域及び「IP電話」を新たに分析、評価の対象とした。これらは今後、サービスの融合が進み、そのことが端末のみならずネットワーク構築にも影響を与えると予想されることから、ブロードバンド、携帯電話及びIP電話の3つのサービスの今後の関係にも注目しつつ、競争状況の分析、評価を実施した(図表[4])。 図表[4] 電気通信事業分野における競争評価 (注)長期増分費用方式とは、ネットワークの費用を、現時点で利用可能な最も低廉で最も効率的な設備と技術を利用する前提で費用を算定する方式 関連サイト:電気通信事業分野における競争状況の評価の実施(http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/kyousouhyouka.html)