(7)ITS(高度道路交通システム)の推進 電波メディアの高度化がもたらすITSセカンドステージ 〜ユビキタスITSへ〜  ITS(高度道路交通システム:Intelligent Transport Systems)は、渋滞、交通事故、環境悪化等道路交通問題の解決を図るシステムであり、社会的基盤性が高く国民への影響が極めて大きいシステムである。ITSでは最先端の情報通信技術を活用し電波が様々な形で使用されており、大別して通信型、放送型及びセンサー型の形態による電波メディアを利用している(図表[1])。 図表[1] ITSにおける電波メディア  我が国のITSは世界的にも例のないレベルで普及・高度化しており、累計台数では、カーナビゲーションが1,710万台、道路交通情報通信システム(VICS:Vehicle Information and Communication System)が1,110万台、ノンストップ自動料金支払いシステム(ETC:Electronic Toll Collection)が670万台をそれぞれ突破している。  さらに今後一層の高度化が期待されるITSのセカンドステージにおいて、総務省では、民間関係団体や関係省庁など産学官の連携を図りながら、ITS分野においてもユビキタス環境を構築し、誰もが、快適に、意のままに移動できる安全・安心な道路交通社会の実現をめざして、普及促進・高度化、研究開発、標準化等の施策に取り組んでいる。  ITSの普及促進・高度化として総務省では、狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communications)について、「DSRC普及促進検討会」(事務局:(社)電波産業会(ARIB)、(財)道路新産業開発機構(HIDO)、(財)日本自動車研究所(JARI))、「ITS情報通信システム推進会議」(事務局:ARIB)のほか、「スマートウェイ推進会議」や「スマートプレート実用化検討委員会」(事務局:国土交通省)との連携によりその推進を図るとともに、地域におけるITSの普及・展開、アジア、特に中国に対する我が国のITS技術による国際協力等を進めている。  ITSの研究開発では、総務省は平成16年度まで「インターネットITSの研究開発」に取り組むとともに、ITSにおけるユビキタス環境の実現をめざし、国土交通省のASV(Advanced Safety Vehicle)推進検討会や自律移動支援プロジェクトとも連携を図りつつ、「ユビキタスITSの研究開発」を平成17年度に着手し、進めることとしている(図表[2])。 図表[2] ユビキタスITSの研究開発  さらに、我が国のITS関連技術をITU-Rへ提案するなどの国際標準化に取り組んでおり、最近では、ITUにおいて我が国の提案したDSRC-ASL(Application Sub-Layer:5.8GHzDSRCシステム上で複数のアプリケーションを実行可能とするアプリケーション・サブレイヤー)が2004(平成16)年12月に国際勧告案として採択された。