2 放送の高度化の推進 (1)地上放送のデジタル化の推進 アナログ周波数変更対策の着実な実施 1 アナログ周波数変更対策の着実な実施  総務省では、地上デジタルテレビジョン放送の円滑な導入に向けて、各種の環境整備を進めている。我が国の厳しい周波数事情において、デジタル放送用の電波を発射できるよう、地上デジタル放送への移行に先立ち、一部の地域において既存のアナログ放送の周波数を変更する必要があるため、そのアナログ周波数変更に伴い必要となる対策経費について、国が電波利用料により措置するよう、平成13年7月に電波法の一部改正が行われた。  また、平成13年7月には、NHK、民放、総務省の三者からなる全国地上デジタル放送推進協議会が設立され、アナログ周波数変更の対策手法、対策経費等の概算及び今後の進め方等について検討が進められた結果、平成14年8月に、対策経費1,800億円程度、対策局所数801局所、対策世帯数約426万世帯程度との見通し等が取りまとめられた。総務省では、検討結果を踏まえ、三大広域圏においては、平成14年8月から送信側の対策を、また、平成15年2月から個別世帯等における受信対策を実施するとともに、その他の地域においても対策を順次実施しており、平成16年度末までに353地域の対策に着手し、世帯数では、約230万世帯(全体の約54%)の対策を終了するなど、計画に沿って順調に進めている。 2 地上デジタル放送施設整備の推進  総務省では、平成14年9月、地上デジタルテレビジョン放送を行う放送局の免許方針を制定し、これに従い、同年12月には、NHK並びに関東、中京及び近畿広域圏内の民間放送事業者16社から地上デジタルテレビジョン放送局の免許申請が行われ、平成15年12月にはこれらの事業者が地上デジタル放送のサービスを開始した。その後、平成16年9月には関東広域圏、同年11月には近畿広域圏においてエリア拡大が行われるとともに、富山県においても同年10月に放送開始され、12月には中京広域圏の親局が定格出力となるなど、順調に拡大している。  また、総務省では、全国地上デジタル放送推進協議会及び各地域地上デジタル放送推進協議会の協力のもと、平成18(2006)年末までに実施を予定している全国の県庁所在地(親局)での放送開始の具体的な目標時期について取りまとめ、平成16年12月その結果を「地上デジタルテレビジョン放送開局ロードマップ(県庁所在地)」として公表した。  地上デジタル放送を行うための施設整備を促進するために、「高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法」に基づく実施計画の認定を受けた放送事業者(平成16年末までに127社認定)に対し、税制及び金融上の支援措置を設けている。さらに、平成15年度税制改正により対象設備の拡充を図るなど、事業者の投資負担の一層の軽減を図るとともに、放送番組制作事業者に対しても、国税(法人税又は所得税の特別償却)及び財政投融資に係る支援措置が適用されている(図表[1])。 図表[1] 地上デジタル放送施設の整備に対する支援スキーム  また、地上デジタル放送の普及のためにはケーブルテレビ施設の高度化が重要であり、総務省では、ケーブルテレビ施設の高度化を促進するため、「高度有線テレビジョン放送施設整備促進事業」により、税制及び金融上の支援措置を設けている。 3 放送技術の研究開発の推進  デジタル放送により、データ放送やネットワークを介した双方向番組など多様なサービスの提供が期待されており、総務省ではデジタル放送ならではの特徴を活かし、さらなる高度なサービスの実現に向けて、各種の研究開発を推進している。  平成16年度には、車両等の高速移動体でのハイビジョン放送受信技術の研究開発を行い、時速約160kmでもハイビジョン放送が安定して受信できる試作システムが開発された(図表[2])。全国の都市部で地上デジタルテレビジョン放送が開始される平成18(2006)年には、実用化が期待される。 図表[2] 地上デジタルテレビジョン放送の移動受信デモンストレーション模様 関連ページ 「地上デジタルテレビジョン放送開局ロードマップ(県庁所在地)」については、第1章第4節4参照