(2)衛星放送の高度化 衛星放送を取り巻く環境変化への取組  平成元年の本格的な衛星放送開始からおよそ16年が経過し、その間、衛星放送は、テレビジョン放送のデジタル化・高精細度化をはじめ、放送の高機能化に先鞭を付けてきた。他方、地上デジタル放送の本格的な展開や通信分野におけるブロードバンド化の進展等、衛星放送を取り巻く環境が変化しつつある。このような中、平成17年3月に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)」において、平成17年度内に「東経110度を軌道位置とするCSに関し、現在通信用に割り当てられている左旋円偏波の周波数を放送に使用できるようにすること及びその際電気通信役務利用放送法を適用することについて検討した結果を踏まえ、所要の措置を講ずる」こととされた。このため、総務省では、平成17年2月に取りまとめられた「放送分野における個人情報保護及びIT時代の衛星放送に関する検討会」の報告書を踏まえ、同年3月には「東経110度CSにおける左旋円偏波については、電気通信役務利用放送法の適用対象とする」ことについての意見募集の結果を公表し、所要の制度整備を行うこととしている(図表)。 図表 「放送分野における個人情報保護及びIT時代の衛星放送に関する検討会」報告書骨子(抄)  また、BSアナログ放送で使用している衛星(BSAT-1a)が平成19(2007)年に設計寿命を終えることから、総務省では、平成19年からのBSAT-1a後継衛星によるBS放送(BSアナログ放送及び第9チャンネルを使用するもの)について、いわゆるハード・ソフト分離の形(受託委託放送制度)を採ることとし、また、第9チャンネル(現在アナログハイビジョン放送で使用)をデジタル放送で使用するため、平成16年4月に放送普及基本計画及び放送用周波数使用計画を変更した。その後、本後継衛星によりBS放送を行う放送衛星局を運営する受託放送事業者(いわゆるハード)について、同年6月に、(株)放送衛星システムに予備免許を交付するなど、本後継衛星によるBS放送について制度整備その他の準備を進めている。今後は、放送番組(いわゆるソフト)を編集する事業者(委託放送事業者)の認定のための手続を進めていくこととしている。