第4節 企業の情報化の推進 1 電子データの信頼性確保に資する取組 ネットワークを利用した社会経済活動の一層の促進のために 1 電子署名・認証の普及促進 (1)電子署名及び認証業務に関する法律の施行  電子署名の円滑な利用環境を確保することにより、電子商取引等のネットワークを利用した社会経済活動の一層の促進を図るため、平成13年4月に「電子署名及び認証業務に関する法律」が施行された(図表[1])。同法では、[1]本人が行った電子署名が付された電子文書等について手書き署名や押印が付された紙文書と同様の法的効力を認めるとともに、[2]特定認証業務(省令で定める基準に適合する電子署名について行われる認証業務)に関し、業務に用いる設備や利用者の真偽の確認方法等の業務の実施方法が一定の水準を満たすものについての国による任意的認定制度を導入している。平成16年度末現在、19件の特定認証業務が認定を受けている。 図表[1] 電子署名及び認証業務に関する法律の概要  また、電子署名や認証業務に対する国民の理解を深めるため、広報活動等を通じた普及啓発活動を行うとともに、国境を越えた電子商取引を促進するため、諸外国との国際協調にも積極的に取り組んでいる。 (2)高度ネットワーク認証基盤に関する研究開発  誰もが電子証明書を利用した厳格な認証機能を手軽に利用することが可能となり、ネットワークサービスを安心して提供・利用できるようにするため、総務省では、「高度ネットワーク認証基盤に関する研究開発」を平成16年度から実施している。従来の電子証明書を利用した通信では、電子証明書を受け取った側が自らその検証を行う必要があるが、本研究開発では、電子証明書の検証を行う機能をネットワーク自体に具備させることにより、誰もが簡便に利用できる高度な本人確認機能を有するネットワーク基盤の構築を目指している。また、民間における取組も活発になっており、平成15年12月に安心・安全インターネット推進協議会が設立された。 2 タイムビジネスの利用促進  近年、電子商取引等の様々な分野において流通し又は保存される電子データに対して、一層の信頼を与えるため、時刻配信(ネット上で正確な時刻情報を配信)と時刻認証(電子データに付与したタイムスタンプの有効性を証明することにより電子データの存在した時刻とその時刻以降の非改ざんを証明)に関する業務であるタイムビジネスの重要性が益々高まってきた。総務省では、民間事業者が行うタイムビジネスを国民が安心して利用できるよう「タイムビジネスに係る指針」を平成16年11月に策定・公表するなどタイムビジネスの利用促進に積極的に取り組んでいる(図表[2])。 図表[2] タイムビジネスのイメージ  また、同指針を受け、(財)日本データ通信協会では、一定の基準を満たすタイムビジネスに対し認定を与えることで信頼性の目安を提供する「タイムビジネス信頼・安心認定制度」を平成17年2月に開始した。同制度に基づき、平成16年度末現在、2件の時刻配信業務及び2件の時刻認証業務が認定を受けているところであり、今後、タイムビジネスの利用促進が期待される。 3 法令により保存が義務付けられた文書の電子化  法令により民間事業者等に対して義務付けられていた紙での文書保存が、民間の経営活動や業務運営の効率化を阻害する要因となっていた。このため、e-Japan戦略II加速化パッケージ(平成16年2月IT戦略本部決定)において、民間における文書・帳簿の電子的な保存を、その内容・性格に応じた真実性・可視性等を確保しつつ、原則として容認する統一的な法律を制定することとされ、これを受け、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」及び「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(e-文書法)が平成16年11月に成立し、平成17年4月から施行された。  e-文書法の成立により可能となった、国税関係書類及び地方税関係書類並びに医療分野における関係文書等に係る電子保存の場合には、一定の要件を満たす措置(電子データに対する電子署名とタイムスタンプの付与)を行うことが必要となる。このとき、電子署名に係る電子証明書は電子署名法に基づき主務大臣によって認定された特定認証業務で発行されたものに、タイムスタンプは(財)日本データ通信協会が認定した時刻認証業務で提供されたものに限定され、信頼される電子署名やタイムスタンプの付与が求められている。 関連サイト:安心・安全インターネット推進協議会(http://www.scat.or.jp/stnf/)