2 重点的な研究開発の実施 (1)ユビキタスネットワーク基盤技術の研究開発 ユビキタスネット社会の実現に向けた基盤技術の確立を目指して 1 ユビキタスネットワーク基盤技術の研究開発  ユビキタスネット社会の実現に必要となる研究開発要素は極めて多岐にわたる。総務省では、特に基盤性を有し、リスクが高く、波及効果の高い技術に力点を置き、平成15年度から、超小型チップネットワーキング技術、ユビキタスネットワーク認証・エージェント技術、ユビキタスネットワーク制御・管理技術の3つの技術について研究開発を産学が一体となった体制により実施しており、要素技術の確立を目指している(図表[1])。 図表[1] ユビキタスネットワーク基盤技術の研究開発の概要 2 ユビキタスセンサーネットワークの研究開発  人・モノの状況やそれらの周辺環境等をセンサーが認識し、センサー同士の自律的な情報の流通により状況へのリアルタイムな対応を可能とするユビキタスセンサーネットワーク技術の実現により、医療・福祉、防犯・セキュリティ、防災、環境リスクへの対応等、様々な社会・経済活動におけるICTの側面支援が強化されることが期待される。このため、総務省では、平成17年度よりユビキタスセンサーネットワークに関する研究開発を行い、多様なアプリケーションや新たなサービスの創出に資することとしている(図表[2])。 図表[2] ユビキタスセンサーネットワークに関する研究開発の概要 3 超高速フォトニック・ネットワーク技術、テラビット級スーパーネットワーク開発の推進  ネットワークの端から端までを光化することにより、ネットワークの大規模・大容量化を図ることが可能である。そのため、1本の光ファイバに数千の信号を同時に送ることができる超高密度波長分割多重技術及びこれに対応した光スイッチング技術等の超高速フォトニック・ネットワーク技術に関する研究開発を実施するとともに、テラビット級のトラヒックを安定かつ最適な経路で制御・管理する技術等の開発を実施している(図表[3])。 図表[3] 超高速フォトニック・ネットワーク技術に関する研究開発等の概要 4 次世代の高機能ネットワーク基盤に向けた研究開発  現在のICTを支えるハードウェア技術は、いずれ物理的限界を迎えることが予想されており、新しい機能を発現させる技術に関する研究開発も重要である。総務省では、光子一つひとつに情報を載せることにより、極めて安全性の高い暗号通信や少ないエネルギーでの超大容量情報伝送を実現する量子情報通信技術や、ナノサイズの物性効果の活用により、中継伝送、交換部分等、ネットワーク構成要素の高機能化と小型・省電力化を実現するナノ技術を活用した超高機能ネットワーク技術の研究開発を実施している(図表[4])。 図表[4] 量子情報通信技術・ナノ技術を活用した超高機能ネットワーク技術の研究開発の概要  また、平成16年6月より21世紀ネットワーク基盤技術研究推進会議を開催し、上記2分野と次世代フォトニックネットワーク技術にテラヘルツ技術を加え、21世紀の高機能ネットワーク基盤構築に必要となる研究開発を戦略的かつ総合的に推進していくこととしている。