(2)二国間・多国間での取組 積極的な対話による国際協調と国際理解の推進 1 二国間での主な取組 (1)「成長のための日米経済パートナーシップ」  2001(平成13)年6月、米国キャンプデービッドにおいて開催された日米首脳会談において、日米間の対話を通じて持続可能な成長のために協調することを目的として立ち上げられ、次官級経済対話、官民会議、規制改革及び競争政策イニシアティブ等の各種会合の下、毎年多面的に協議を行っている。  2004(平成16)年10月には、日米規制改革及び競争政策イニシアティブについて、日米政府間で電気通信分野を含む各分野に係る規制改革及び競争政策についての要望書を交換した。 (2)「日EU行動計画」  2001年12月、ブリュッセル(ベルギー)において開催された日EU定期首脳協議において、2001年から10年間の協力分野及び内容を具体化した「日EU行動計画」を採択した。また、2004年6月、第13回日EU定期首脳協議の共同プレス・ステートメントにおいて、「ICTに関する協力についての共同宣言」が発出された(図表)。 図表 第13回日EU定期首脳協議(2004年6月)における「情報通信技術に関する協力についての共同ステートメント」 (3)日印共同声明  2005(平成17)年1月、麻生総務大臣は来日したインド国通信情報技術大臣と会談し、アジア・ブロードバンド計画の推進を含めICT分野における今後の二国間協力の推進を合意した共同声明を採択し、署名した。 (4)自由貿易協定(FTA)/経済連携協定(EPA)締結に対する取組  多国間交渉である世界貿易機関(WTO)の枠組よりも高い水準の自由化を二国間・地域間で迅速に実現できるという利点に鑑み、自由貿易協定(FTA:Free Trade Agreement)/経済連携協定(EPA:Economic Partnership Agreement)の締結に積極的に取り組んでいる。既にシンガポール及びメキシコとの間でEPAが発効し、フィリピンとの間では大筋合意に達したところである。さらに、現在、韓国、マレーシア及びタイとの間で、WTOルールとの整合性に留意しながら、外資規制の撤廃・緩和、相互接続ルール等の競争促進的な規制の枠組等を実現すべく、協定の締結交渉を行っている。2005年4月からASEAN全体と交渉を開始しており、2005年1月に、チリ、インドネシアとの間でもFTA/EPAの交渉開始を検討するための共同研究会、共同検討グループがそれぞれ立ち上げられた。 2 多国間での主な取組 (1)世界貿易機関(WTO)における新ラウンド交渉  2001年11月から開始されたWTO(World Trade Organizations)ドーハラウンド交渉では、サービス貿易分野で最も重要な分野の一つとされている電気通信分野について、そのより一層の自由化に向け、各加盟国と積極的な交渉を展開している。我が国は、電気通信分野については、WTO加盟国の中でも最も自由化の進展している国の一つであることから、諸外国に対しては、一律に課せられている外資規制等の措置について、撤廃・緩和の要求を行っている。なお、2004年7月の一般理事会決定において、2005年5月末までの改訂オファー(自由化提案)提出、2005年12月の閣僚会議(香港)の開催が決定され、交渉の機運は今後更に高まるところである。 (2)アジア・太平洋電気通信共同体(APT)  APT(Asia-Pacific Telecommunity)では、2004年7月、バンコク(タイ)において、APT設立25周年を迎えることを記念して、各国の電気通信大臣を集めた「アジア・ブロードバンド・サミット」を開催し、アジア・太平洋地域内のブロードバンド導入に向けた具体的な行動計画が採択された。 (3)経済協力開発機構(OECD)  OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development)では、情報・コンピュータ・通信政策委員会(ICCP:Committee for Information, Computer and Communications Policy)における加盟各国の意見交換を通じ、情報通信に関する政策課題及び経済・社会への影響について検討を行っている。OECDの特徴は、他の国際機関に比べ、最新の政策課題につき経済学的な観点から客観的・学術的とされる議論を行う点にある。ICCPは、通信規制政策、情報セキュリティ、プライバシー等の分野において特に先導的な役割を果たしている。また、加盟国の情報通信動向・統計をまとめたOECD通信白書(Communications Outlook)を、2年に1回発行している。 (4)アジア太平洋経済協力(APEC)  APEC(Asia-Pacific Economic Cooperation)では、電気通信・情報作業部会(TEL:Telecommunications and Information Working Group)等において、次世代ネットワークの推進、デジタル・ディバイドの解消、ブロードバンドの普及、WTOへの貢献、ビジネス円滑化、セキュリティ及び人材育成等、情報通信分野に関する各種の議論及び情報交換が活発に行われている。  総務省は、TELの各分科会議長/副議長等を継続的に担当するとともに、我が国の情報通信政策の紹介、研究開発プロジェクトの提案、アジア・太平洋地域の情報主管庁との意見交換等を通じ、これらの会合に主体的に対応しており、APECの情報通信関連の取組に積極的に参加している。 (5)主要国首脳会議(G8サミット)  G8サミットでは、1994(平成6)年のナポリ・サミット以来、情報通信関連のテーマが毎年取り上げられている。2004年6月に開催されたG8シーアイランド・サミットの議長総括では、世界経済情勢、WTOの促進、環境問題及び汚職(透明性)への言及がなされ、透明性の向上においては、情報技術が役立つことが記載された。また、「拡大中東パートナーシップ」で採択された「G8改革支援計画」では、「デジタル知識の向上のための地域への支援」として、コンピュータへのアクセスの提供又は拡大のための官民パートナーシップ、コンピュータに基づいた技術のカリキュラムへの統合、電子政府の取組に対する支援等について記載された。 (6)東南アジア諸国連合(ASEAN)+3電気通信及びIT担当大臣会合  本会合は、ASEAN加盟10か国と日本・中国・韓国3か国の電気通信担当大臣がASEAN地域における情報通信分野での協力関係につき議論するものであり、第1回会合が2004年8月にバンコクにおいて開催された。  本会合では、電気通信及びITの発展のために、人材育成、通信インフラ整備、ASEANと日中韓の協力等について広く議論を行い、我が国からは総務副大臣が出席し、「アジア・ブロードバンド計画」の普及・促進を図るとともに、ASEAN諸国との協力を加速させた。