第10節 郵政行政の展開 1 「日本郵政公社」の取組等 国民の利便性の向上を目指して  郵政事業については、中央省庁等改革の基本的な理念を定めること等を目的とした中央省庁等改革基本法(平成10年成立)において、独立採算制の下、自律的かつ弾力的な経営を可能とすること、企業会計原則の導入や予算の国会議決による事前管理から中期的目標管理による事後評価へなどの方針に従い、国営の新たな公社を設立することが定められた。その後、日本郵政公社法の成立(平成14年)を経て、日本郵政公社が平成15年4月に発足した。  政府は、平成16年9月、「郵政民営化の基本方針」を公表した。同基本方針では、[1]郵政公社の4機能(窓口サービス、郵便、郵便貯金、簡易保険)が有する潜在力が十分に発揮され、市場における経営の自由度の拡大を通じて良質で多様なサービスが安い料金で提供が可能になり、国民の利便性を最大限に向上させる、[2]公的部門に流れていた資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を経済の活性化につなげることが可能になる、などといった国民の利益を実現するため、民営化を進める上での5つの基本原則(活性化原則、整合性原則、利便性原則、資源活用原則、配慮原則)を踏まえ、平成19(2007)年に日本郵政公社を民営化し、移行期を経て、最終的な民営化を実現することとしている。政府は同方針に基づき平成17年4月に第162回国会に所要の法律案を提出した。 2 信書便事業への参入  平成15年4月、日本郵政公社の発足に伴い、「民間事業者による信書の送達に関する法律」(信書便法)が施行され、従来、国の独占とされてきた信書の送達事業(信書便事業)は民間事業者でも行うことが可能となった。  信書便事業には、「全国全面参入型」の一般信書便事業と「特定サービス型」の特定信書便事業があり、信書便法において信書の秘密の保護など信書の送達の役務に固有の規律が要請されることから、信書便事業を行うためには総務大臣の許可を取得する必要がある。平成16年度末現在、111社が特定信書便事業の許可を取得し、このうち71社が事業を開始している(図表[1]、[2])。 図表[1] 一般信書便事業 図表[2] 特定信書便事業