第3節 通信・放送の融合・連携の動向 1 通信・放送の融合・連携の背景  近年、ブロードバンドサービスの普及率は急速に拡大しつつあり、2005年末のブロードバンド回線の契約数は2,237万件に達している。2010年度までにブロードバンド・ゼロ地域を解消することを目標として、ブロードバンドネットワークの整備が進められているところである。他方、地上デジタルテレビジョン放送は、受信エリアの拡大が急速に進んでおり、2006年6月には視聴可能世帯が3,220万世帯、我が国の全世帯の約68%に達している。今後、2006年末には全国県庁所在地で地上デジタルテレビジョン放送が開始され、2011年7月には完全にデジタル放送に移行する予定である。  このような通信ネットワークの伝送能力の飛躍的向上や放送のデジタル化の進展は、符号化技術等の向上1と相まって、電気通信事業者の保有する光ファイバ網を用いて放送番組を伝送するなど一つの伝送路を通信用にも放送用にも用いる伝送路の共用化や、インターネットにおける映像・音声コンテンツの配信サービスの本格化等の現象をもたらす一方、デジタル放送向けに制作されたコンテンツの放送事業者自らによるインターネット配信の増加や、本年4月のワンセグ(携帯端末向け地上デジタルテレビジョン放送)の開始を通じた通信と放送双方のサービスを受けることができる携帯端末の普及等の動きにつながりつつある。  このような、デジタル化やブロードバンド化の進展に伴い生じてきている、映像・音声コンテンツのネット配信の本格化、端末・ネットワーク等の共用化、通信・放送分野における事業者の相互参入等の現象を捉えて、「通信・放送の融合・連携」と呼んでいる。 図表1-3-1 通信・放送の融合・連携に係る動向 1 映像符号化技術は、膨大な情報量を持つデジタル映像を圧縮して記録、伝送するための技術である。この技術は数年間隔で新しい国際標準規格が策定され、その度に符号化性能を向上させてきた。最新規格であるH.264/AVCは、現在、デジタル放送等で利用されているMPEG-2の2倍程度の圧縮性能を有すると言われており、2006年4月から開始されたワンセグ等で実用化されている