3 ソフトウェア8分野の特色  情報サービス業におけるソフトウェア(受託ソフトウェア開発及びソフトウェアプロダクツの合計)の2004年の年間売上高は、8兆2,927億円となっている(図表1-4-5)。また、ソフトウェア輸入は3,646億円であり、輸出は320億円となっている(図表1-4-6)。ソフトウェア技術者については、2004年の情報サービス業におけるシステムエンジニアの就業者数は241,317人で、プログラマーは105,688人となっている(図表1-4-7)。  ソフトウェア分野の業界構造は、元請、下請、孫請という多層構造で形成されている。発注企業は、実際に利用してみないと品質や性能を判断できないという受注生産ソフトウェアの経験財としての性格から、実績・信頼性を重視して、大手ベンダーを発注先として選択する傾向がある。また、中小のベンダーでは開発のリスクを負いきれない9こと等から、規模の大きなプロジェクトでは元請企業が上流工程を担当し、下流工程を下請企業に任せるという形で開発が進められる場合が多い10。 図表1-4-5 ソフトウェア売上高の推移 図表1-4-6 ソフトウェア輸出入の推移 図表1-4-7 情報サービス業の職種別就業者数 8 ソフトウェアという場合、狭義にはコンピュータ・プログラムと同じであるが、広義にはコンピュータが扱うプログラム以外のデータを含めてソフトウェアと呼ぶ場合もある。大きくOSとアプリケーションに分けられる。また、特定の利用者のニーズに合わせて個別に開発されるオーダーメイドのソフトウェアと、不特定多数の利用者を対象に開発・販売されるパッケージソフトに分けることができる 9 中小ベンダーがリスクを負いきれない要因の一つとして、請負契約の形態が挙げられる。ソフトウェア開発の契約は定額契約となることが多く、この場合、コストを抑えることができれば利益を得ることができるものの、コストが膨らんだ場合には赤字になり、プロジェクトを中断してしまえば全く対価を受け取ることができなくなる。また、成果物を納品するまで対価を受け取ることができないため、開発期間の長いプロジェクトでは、資金調達上の制約も生じる 10 元請と下請の契約は、人月単価の人材の派遣としての契約であることが多く、利益率は低いものの赤字のリスクも少なく、中小ベンダーが請け負いやすい